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LINEN渡辺諄子のFF4(ゴルカイ)妄想
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――バロン国。
城内。
カインは竜騎士隊の訓練の指揮を終えた後、自室へ戻った。ゴルベーザに直接会いさえしなければ、記憶が薄れるまで脳を支配されることはない。
実のところ、カインは、ゴルベーザにまみえて脳を支配され、記憶が飛ばされているその間、自分に何が起こっているのかを全く知らない。まるで夢から覚めれば夢の内容をすっかり忘れてしまうように、毎夜のようにゴルベーザに呼ばれてから先何が自分自身に起こっているのか、まったく記憶にないのだ。
それに加えて、平素の自分自身までもが日に日にゴルベーザの術に支配されていきつつあることを、カインは自覚してはいない。カインは今ではバロン国がクリスタルを奪って他国を軍事力で制圧することに対して何の違和感も感じなかったし、それどころか、それを当然だと感じるようになっていた。
赤い翼は毎日世界を飛び回り、各地で無差別爆撃を行っている。カインの率いる竜騎士隊は今や赤い翼の傘下に入っている。カインは毎日ゴルベーザの補佐として、ゴルベーザの側で竜騎士隊を指揮していた。
「……カイン隊長」
ふと、声に促されて顔を上げる。部下の一人がカインの部屋を尋ねてきたのだった。
「ああ、どうした? 武器や防具に関する相談か?」
カインはその青年を部屋に招き入れる。
「……」
青年はただ黙って、その場に立っていた。
「酒でも飲むか?」
カインはそう言って、棚からボトルを取り出す。グラスをふたつ用意して、ボトルの中身を注ぎ分けた。片方を青年に差し出す。
「どうした? ……まさか……お前の竜が……」
竜騎士にとって、竜の確保は最も重要な問題だ。竜は、一度なつけば後は楽だが、なつくまでに時間がかかる。しかも誰にでもなつくというわけではないので、飼っている竜が死ぬということは大問題なのだ。カインほどの才能があれば、自分で育てた竜でなくとも乗りこなすことができるが、カインは例外だ。カインほどの力を持つ竜騎士など、ごく稀なのだ。そしてカインはそのことを、自惚れるわけでなく、知っていた。
「……いえ……そういうわけでは」
青年はそう言って、ただカインを見ている。カインは竜の大事ではないということで、とりあえずほっとした。
だが次の瞬間、カインは自分自身の知覚したものを疑った。
青年がカインを抱き締め、絞り出すような声でカインの耳に囁いたのだ。
「カイン隊長……好きです」
その腕が、冗談では済まされぬほど強くカインを抱き締めている。カインは慌てて唇を開いた。
「バッ、バカな! そんな冗談は笑えん!」
「冗談なんかでは……ありません……」
青年の腕は、ますます強くカインを抱き竦める。カインはそれをどうにか避けようとした。
「俺にはそんな趣味はない! 俺は……!」
ローザという女を愛している、ただ平凡な男に過ぎないのだ。
「カイン隊長……ずっと以前から……好きでした……もう……」
青年がカインを壁際で押さえつけ、その唇が、カインの唇に近づく。
「……抑えることが……できません……隊長……」
青年の吐息が、カインの唇にかかる。

その時、カインの部屋の扉が開いた。

青年は、思わず振り返る。そしてそのまま、硬直してしまった。
「……ゴルベーザ様……!」
脚を踏み入れた人間の名を呼んで、青年は絶句する。
「何をしている」
その声は、低く、恐ろしいほどに淡々としていた。
「……何をしているんだ、ここで。カインに」
青年の腕は、壁にカインの腕を押さえつけたままの状態で止まっている。
「カイン」
ゴルベーザの顔に、激しい怒りの表情が現れた。
「……こいつに、何をされた? 何をされることを許したんだ? お前は」
そう言って、ゴルベーザは瞳から怪しい光りを放つ。カインの目を射って、尚続けた。
「……俺を絶対に拒み通す平素のお前が、こいつには触れることを許すのか?」
ゴルベーザはその凍りつくような美貌を、更に冷たい表情で彩る。
「……こいつならいいとでも言うのか? 俺を拒むくせに?」
返事を返すはずのないカインにそう尋ねて、ゴルベーザは青年を凄い形相で睨んだ。
「お前はカインに何をした?」
あまりに恐ろしいゴルベーザの表情に、青年は言葉もでない。ゴルベーザは数歩歩いて青年とカインに近寄り、青年の腕を取って払い除けた。
「……カインは俺のものだ」
ゴルベーザは青年からカインを引き剥がし、眼力に魅せられて動くことのできないカインをマントの中に抱え込む。
「カインに近寄るな。こいつに触れることは、許さない。
そして、瞳の力のみで、カインの部屋の扉を閉めた。
「何ならお前の目の前で、見せてやってもいい。カインが俺のものだということを……」
青年には、最早その場から逃げる術はなかった。
ゴルベーザは眼力でカインの力を捩じ伏せ、カインに命ずる。
「カイン、脱げ」
その言葉に従い、何の意志も持たない抜け殻のようなその瞳は、自分の身につけているものを静かに脱ぎ捨てる。
「来い、カイン。客の前で、俺に抱かれてみせろ」
命ぜられるままに、カインはゴルベーザの腕に抱かれる。唇を婪られて、その舌に応えた。
「カインは、俺のものだ。誰にも手出しはさせん」
ゴルベーザはカインを抱いて、唇の両端をゆっくりと上げる。だがその微笑みは、冷たく、そしてなぜか怖ろしいほどに孤独な微笑みだった。







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※当然ですが、FF4の公式(スクエア・エニックス)とは一切関係ありません。ファンが好き勝手なことを書いているファンサイトです。しかも腐女子向け。

※カップリングはゴルベーザ×カインです。
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