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LINEN渡辺諄子のFF4(ゴルカイ)妄想
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クリスタルを集めるのと同時に各地を掌握しようと赤き翼で都市を駆け回っていたゴルベーザは、休息に訪れたアガルトの小さな村で、暗がりの中、草に潜む何者かに矢で正面から射抜かれた。
飛んできた矢の多くはマントや胸当てではじかれ、とめられたが、その中の一本が鎧の間から滑り込んできてゴルベーザの身体を射抜いた。小さな村だから油断していたのだということを、腹部に広がる痛みで初めて知る。その場で矢を抜き捨て、傷口を手で押さえたが、すぐに傷口から血が滴り落ちた。
もう夜も遅く、体力的にもその場で戦闘態勢に入るのは得策ではないと考え、ゴルベーザはそのまま赤い翼でゾットの塔へ帰還した。
普段なら意識もしない石の廊下や階段が、やけに長く感じる。歩けど歩けど進まない自分の身体に苛立ちを感じながら、一段一段足をのせていった。
カインの部屋のある階で自分の足が止まったのに気づく。数歩でも無駄にする余分な体力はないというのに、足を引きずるようにして廊下を歩き、カインの部屋の前までたどりついて立ち止まった。
――何をやっているのだろう。
わざわざ訪ねるまでもなく、ただ一言呼べば、カインは来る。そして命じる通りにゴルベーザを介抱するだろう。操られているのだから、逆らうはずはない。
だが――だから何だ。カインの思ってもいないことをさせたとして、どうなるものでもない。最初からわかっていてそうしたことだったというのに、カインの首筋の赤い痣を見た瞬間に絶望した。ゴルベーザが術を使い、カインの心を操ってようやく手に入れるものを、ゴルベーザ以外の者ならばそんなことをせずともあっさりと手に入れることができるのだと、こうもはっきり思い知らされると。
もう何日もカインと言葉を交わしていない。ただ一言でもその名を呼べば、抱きたくなってしまうことはわかりきっていた。
カインに伝えたいことがないわけではない。通りがかりに見下ろしたバロンの城内で、カインの竜を見た。竜騎士にとって竜は大切なパートナーだという。置いてきたからには、気になっているはずだ。その様子を聞かせてやりたかった。カインもおそらく望むだろう。
だがカインと向かい合い、あの顔と身体を目の前にして、ただ話をするだけで済むかというと、その自信は全くなかった。
「……」
ゴルベーザはしばしその場で動かない扉を眺めていたが、やがて踵を返し、扉から遠ざかった。
やけに喉が渇く。最上階は際限なく遠く感じられた。ようやく辿り着いた自室で、壁際のテーブルの傍らの椅子に手をつき、ゴルベーザはがくりと膝をついた。仮面が重い。わななく右手で、気が遠くなりそうなほどの時間をかけて漆黒の仮面を外し、頭をがくりと垂れた。寒気がし、焦点は定まらない。
「ゴルベーザ様……」
カインの声が聞こえたような気がしたと思うと、肩が軽くなり、ややあって身体の締め付けが緩み、呼吸が楽になった。
夢でも見ているのかと思ったが、そうではなかった。重い眼を開けると、金色の髪と整った顔立ちが自分を伺い見るように覗き込んでいるのが見えた。
「ああ――カイン」
心配してでもいるように寄せられた眉。真剣なまなざし。あの頬に、唇に、何度も触れたことがある。触れたい。髪を撫で、口付けたい。傷口からあれだけ感じていた痛みは、応急手当のおかげで和らいでいた。
「――俺を手当てしてくれたのか」
「は……」
カインは頭を下げた。いとおしさが胸の奥からこみ上げてきて溢れ、抑えることができないほど渦巻いた。
ベッドの上に寝かされていることに気づき、ゴルベーザは上体を起こした。
「カイン……」
ゴルベーザは手を伸ばし、カインの手を握り締めた。
操られて自分の言いなりになるカインを、そしてそうすることでしかカインを手に入れられない自分を哀れに感じ、もう触れるのはよそうと思っていたが、どうして忘れることができるというのか。これほど愛しているのに。
「お前を自由にさせてやりたいとも思ったが――」
カインの姿を目の前にするとその決心はぐらつく。いや、ぐらつくどころか一瞬にして崩れ去ってしまう。ただ抱きたい、それだけのために喉がひりつき、唇が渇く。
「俺はやはり――お前を……」
ゴルベーザはカインを抱き寄せ、その耳に寄せた唇で囁いた。
「……お前を愛している」
たった数日触れなかっただけだというのに、ゴルベーザの身体はたまらなく飢えていた。カインに触れたくて全身がざわついた。
「ゴルベーザ様――」
カインがゴルベーザの胸元に顔を寄せる。これまでになかった反応に、ゴルベーザの胸は早鐘のように打った。
「お怒りでは……」
「いや――そうではない。そうでは――」
言葉を口にする暇さえ惜しかった。ゴルベーザはカインの髪を指で梳くようにして撫で、手に取ったその髪に口づけた。
カインの腕を引いてベッドの上に倒し、上から覆いかぶさる。
「お怪我に障ります――」
「お前が癒してくれた」
カインの耳元に唇を寄せ、耳殻を唇に含み、舌でなぞる。ぴくりと反応した肩を抱き、耳を丹念に嬲りながらカインの鎧に手をかけ、胸元をまさぐった。
カインの身体が強張り、吐息が乱れ始める。首元に舌を這わせながらカインの身に着けているものをひとつひとつ奪い、反応を示している股間のそれに手を沿え、ゆっくりとしごきながら耳元に囁きかける。
「カイン、お前が欲しい――」
「――」
カインは荒い息と濡れた唇を開くことでそれに応えた。
「お前は俺のものだ。そうだな、カイン――」
「は――はい、ゴ、ゴルベーザ様――」
ゴルベーザの愛撫に時折反応を示しながら、カインは頷く。操られている時そのままの言葉で。
「誰にも触れてはならぬ。俺以外の誰にも――」
ゴルベーザはカインの腰に触れ、なめらかで筋肉の強張りのある尻と太腿を指で撫で、薄い唇を唇で塞ぎ、その中の舌に舌で触れながら、開かせた足の間に割り込んで半ば強引に身体を重ねた。
「――っ」
痛みを感じたのか、荒かった吐息が一瞬詰まったように途切れる。だがすぐに息を吐く音が聞こえ、次第にその中に切なげな声が混じるようになった。
「――んん――あ――あぁ――」
「カイン――愛している――愛している、カイン――」
何度言っても届くはずのない言葉を繰り返し、ゴルベーザはカインの太腿を掴んで深く腰を沈めては浅く引く。何度も何度も身体を打ち付け、深いところで留まって腰を押し付ける。
「ゴ……ゴルベーザ……様――」
ここ数日抱いていなかったせいで、すぐにでも達しそうだったが、動きをとめてそれを堪え、繋がったままカインの足を大きく開いて押し込むように腰をうねらせながらカインの身体をゆっくりと反転させた。うつ伏せで腰だけを上げる体勢をとらせ、背中からカインを抱きしめて深く貫いた。
「――ぅ――」
喉から声を漏らしながら、カインは自分からゴルベーザに腰をあずけるように突き出し、触れ合いが増すたびにゴルベーザを深くくわえこむ。
「はぁ、ああ――あぁ――」
後ろから回した両腕でカインの胸元をまさぐる。
「んっ、んふ――あぁ」
切なげに首を振り、カインが嗚咽のような声を漏らす。ゴルベーザはカインの中を浅く、深く楽しみ、奥深くまで貫いて腰を揺すった。
「あぁ、ああ、ああ――」
ゴルベーザが突き上げる度、しどけなく緩んだ唇から淫らな声が漏れる。ゴルベーザは一層激しく突き入れ、何度も穿つ。
「ん――んあぁ、あぁ、ゴルベーザ様――」
カインが後ろの快感だけで身を震わせ、身体をひくつかせながら達する。
「まだだ――まだだ、カイン――」
ゴルベーザはカインの身体を横にねじり、その唇に唇を寄せながら更に突き込んだ。
「ん――んん――」
カインの眉根が苦しげに寄り、腕がするりとゴルベーザの首に巻きついた。
「……!」
ゴルベーザは目を閉じ、うめき声を喉の奥で殺しながらカインの中に射精した。全部吐き出し終わって深く息を吐き、ずるりと抜き取る。
久しぶりの抱擁をもう少し長く楽しむつもりだったというのに。自分の行為を許容してくれているかのようなカインの仕草に、思いがけず放ってしまった。
ゴルベーザは自嘲の舌打ちをし、カインを見下ろした。カインは夢見るような目つきで、まだ荒い息を吐いている。
あまりに艶かしいその顔に唇を寄せ、何度か啄ばむように唇を貪る。それから首元に顔を埋め、ゆっくりと息を吸い込んでカインの髪の香りを楽しんだ。
どさりと身体を横たえ、カインの隣に寄り添う。その時ふと、カインに告げたかったことを思い出し口を開いた。
「思い出した。お前の竜のことを――」
荒かったカインの呼吸も次第に安らかになり、その目はゴルベーザを伺い見るように見つめている。
「数日前、バロンに立ち寄った際に見たのだが――」
バロン城はセシルたちに解放されてしまったため、あまり大っぴらに足を踏み入れることはできない。赤き翼で上空から眺めるのみだった。
「元気にしているように見えた。立ち寄ることができず、そのままバロンに置き去りにしてきてしまったが――」
「は……」
竜のことは気になっていたらしく、カインの顔が曇る。ゴルベーザの側に仕えるようになってからは竜と接する時間も少なくなっていたようだが、やはり自分のパートナーのことだから気にならないはずはないだろう。
竜を操る竜騎士には、当然のことながら、それぞれパートナーとなる竜がいる。かつては多くいた竜も今や数が減り、バロンの竜騎士隊も縮小の一途をたどっていた。
人間に飼われ、自由に空も飛べず、竜騎士としか会話をしない竜を哀れに思う反面、カインと生死を共にできることには羨ましさを感じもする。
「――カイン」
ゴルベーザはカインの髪に、それから額に唇を寄せた。
「……俺が死んだ後、次に生まれた竜には、セオドールと名づけてくれ」
名づけられたからと言って、それに生まれ変われるというわけではないのはわかっているが、一種の願掛けだ。
カインの傍で、カインだけを見つめ、カインの言葉だけを聞きながらやがて絶滅の時を待つ。そんな一生もいいのではないかと思った。
「はい、ゴルベーザ様――」
その名が何を示すのかわからないであろうまま、カインは頷く。その目はいつもと同じ術に操られた状態の空虚なもので、それが空しい口約束に過ぎないことはゴルベーザにもわかっていた。
けれどゴルベーザは幸せだった。
カインの手を握り、指に口づけ、その髪を撫で、そして耳元で、いつもと同じ聞く人のいない言葉を、何度も何度も囁いた。





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