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夜も更けた頃、ようやく赤き翼をゾットの塔につけ、ゴルベーザは大地へ降り立った。
残すは土のクリスタルだけというところまでこぎつけたが、掌握していたバロンをセシルたちに開放されてしまったため拠点として使うことができなくなり、これまで以上に赤き翼で遠征し世界中を駆け回る日々が続いていた。
警戒していたセシルがパラディンになったということもあり、焦りはある。邪魔される前に全てを終わらせなければ、これまでの積み重ねが全て無に帰す。
ゾットの塔の最上階へ戻ったゴルベーザは、寝屋と風呂が一続きになった広い自室でマントを外し、漆黒の仮面を脱いだ。頭を振って顔に貼りつく髪を振り払い、大きく息を吐く。
そのまま眠りについてもいいほどの疲労を感じていたが、言い知れぬ不安と胸苦しさにかられ、カインを呼んだ。
「……お側に」
夜も遅いというのに、竜騎士の鎧に身を包んだ普段と同じ姿のカインがすぐに姿を現した。鈍い輝きを放つ蒼い鎧と竜の兜、金色の髪に目をひきつけられる。
いつ戻るともわからぬ状態で、それでもすぐにゴルベーザを出迎えられるよう待機してくれたのだろうか。――いや、カインにそんなつもりはないだろう。いつでも戦闘準備を怠っていないというそれだけのことで、別にゴルベーザが戻るのを待ってくれていたわけではない。
「今戻った。これから湯を浴びようと思う」
「はっ……準備いたします」
カインは恭しく頭を下げ、部屋の奥へ姿を消した。ゴルベーザは扉の近くに配置してあるテーブルの傍の椅子に深く腰を下ろし、目を閉じた。痺れるような疲れに全身が包まれている。
やがてカインが戻り、命じられるのを待たずしてゴルベーザの肩当てや肘当て、手袋、胸当て、グリーブなどをひとつひとつ外していった。身体の締め付けがなくなると、代わりに意識していなかった重力を感じるようになった。
「ゴルベーザ様。お湯ができました。こちらへ」
カインに導かれ、広い浴室へ足を向ける。一人で使うには大きすぎる浴槽に少し温めの湯がなみなみとはられていた。
「来い、カイン」
「はっ……」
カインが竜の兜を取ると、薄明かりの下にその美貌が晒された。肩当て、鎧、籠手、身に着けているものが外される度、しなやかな身体のラインがあらわになる。
後ろで三つ編みにしてある金色の長い髪を湯で濡れないように高く結わえて纏めると、首筋の美しい線が際立つ。ゴルベーザと同じ無防備ないでたちになったカインは、ゴルベーザの傍へ来て膝をつき、浴槽から手桶で湯をすくってゴルベーザにそっとかけた。温い湯が、疲れた身体にしみこんだ。
「ローザの様子はどうだ?」
「あまり食事もとらず、元気がありません」
カインの美しい顔立ちが曇り、その目が伏せられた。
――心配なのだな。
ゴルベーザは胸に痛みを感じた。
ゴルベーザがいない間、カインとローザは二人きりで、どうして時を過ごしていたのだろう。昔話をするにも長すぎる。
「ローザに触れたか……?」
尋ねると、カインは首を横に振った。
「いえ、そのようなことは……ゴルベーザ様のお許しなく、任務以外のことはいたしません」
「そうか……」
――俺が許せば、俺の命令だと言い訳してローザを抱くこともできるのだろうが。
愛するローザを抱擁することは、カインの本懐のはずだ。
喉元に苦いものが沸き上がってくる。カインを奪われたくないと思う一方で、カインの望みを叶えてやりたいと思う気持ちもまた本音だった。
「ローザを抱いてもいいのだぞ」
「いえ……」
「積年の思いを遂げる良い機会ではないか」
「いえ、無理強いは……」
ゴルベーザの口ぶりが命令でなかったためか、カインはただ否定を繰り返すばかりだった。
カインはローザを大事に思いすぎている。ゴルベーザに心を操られ、抑圧していた願望を全て表に出すことができるこんな状態であってすら、カインはローザを汚すことができないのだ。
「私ならこうするが……」
ゴルベーザはカインの顎に指をかけ、自分の方へ向けさせた。カインの薄い唇に唇を押し当てると、カインは顔をほんの少し背けて抵抗の意思を見せた。ゴルベーザは更にその唇を追って更に深く口付けた。
「愛する者が手の届く距離にいて、触れない理由がない」
「……」
「無理強いであっても――」
カインの唇のほんの手前で囁くと、美しく形のよい唇がうっすらと開きかけ、また閉じた。
「――それでも、身体は満たされる」
どちらにしろ愛してはもらえない相手なのだから。触れたいという自分の思いに忠実になる他ないのだ。
ゴルベーザはカインから離れ、浴槽に身を沈めた。体温と変わらない湯に全身を包まれ、身体の境が無くなったかのような錯覚に陥る。ゴルベーザは浴槽の外で待っているカインに手を伸ばした。
「カイン、こっちへ来い」
カインはゴルベーザに言われるままに浴槽へ身体を移し、ゴルベーザの傍で湯に身を浸した。
「顔をこちらへ向けろ」
「……」
カインはゆっくりと顔をゴルベーザに向ける。ゴルベーザはカインの肩に腕をまわし、その唇をそっと吸った。
「お前を抱きたい」
「……ずいぶんとお疲れのように見えますが。お身体に障ります」
「俺は構わぬ」
肉体的には疲労の限界に達していたが、それでもカインを抱きたいという気持ちに歯止めはかからなかった。カインのその言葉は、ゴルベーザの身体を気遣っていると装った拒絶の意思表示だとわかってはいたが、それでも退く気にはなれなかった。
ゴルベーザは湯船に伸ばしていた足を寄せて身体を起こした。湯がざばりと波打ち、揺れた。カインの腕を掴んで立ちあがらせ、背中を向けるようにして両手を浴槽につかせた。細い首から背中にかけての細く美しい線、どうしようもなく情欲を掻き立てる腰のくびれ、前の膨らみ、引き締まった尻。そこから生えている長い脚は、波立つ湯に隠されて歪んで見える。ゴルベーザはカインの背中に近づき、身体を押し付けた。カインの背中がぴくりと震えた。
「ゴ……ゴルベーザ様……」
カインのうなじに口付けると、カインはゴルベーザの名を呼んで微かに声を漏らした。そのまま首筋を伝って背筋に舌を這わせる。必死で耐えているようなカインの声を聞きながら、ゴルベーザはカインの腰に添えた左手をするりと前へ回し、カインのそれに指を絡めた。
「……っ、ぅ――」
そっと指を動かすと、手の中のカインが大きさと固さとを増していく。
荒くなっていく吐息も、時折びくりと強張る身体も全ていとおしい。ゴルベーザは這わせた指を更に下へと潜らせた。カインの両脚を開かせ、指を入れて掻きまわすと、逃げるような、もっと誘い込むような奇妙な動きでカインの腰がくねった。
「……ぅ――っ、はぁっ――」
指を抜いて既に天井を向いている自分自身の昂ぶりをカインの尻たぶに密着させると、カインの腰が切なげに震えた。
「――ゴ――ゴルベーザ様――」
「どうした? 欲しいのか?」
がくがくと震えるカインの右手に手を添え、息をはきかけるようにして問うと、カインは首を横に振りながら苦しげな声を出した。
「いえ……、そんなことは――あっ――あっ」
カインの尻に腰をおしつけたまま、ゴルベーザはその背中に唇を寄せる。背骨のくぼみを舌でなぞると、細い首が跳ね上がり、カインの腰が更にゴルベーザに突き出される格好になった。欲しがっているとしか思えない身のくねらせ方に、ゴルベーザの胸も熱くなる。
「俺に――どうして欲しい?」
「ぁ――ゴルベーザ様――」
カインは肩で息を吐きながら、ただゴルベーザの昂ぶりに自分の臀を押し付ける。
「ここに入れて欲しいのではないのか――?」
カインの頭が伏せられ、更に腰が波のように隠微に揺すられる。
「は……はい、はい、ゴルベーザ様――」
ゴルベーザはカインの細い腰をつかみ、自分の昂ぶりの先端を押し付けた。
「ぅ――」
「ローザでは届かないお前の奥の奥まで愛してやろう」
カインの身体を押し広げ、もっと中へ押し進める。風呂の湯が冷めてきているのか、カインの中の方が熱く感じた。一番奥まで突き進み、ゆっくりと引き抜く。
「あ――あぁ――」
カインの切なげな声が浴室内に響く。もう一度深く突き入れ、最奥を楽しんでからまた腰を引く。自分の息も上がってきているのがわかる。身体を打ちつける際の水の抵抗が煩わしいが、そんなことを気にしている余裕がない。
「ゴ、ゴルベーザ様――あっ――はぁ、あぁ――」
腰を打ちつける速度が増すと、ゴルベーザの気持ちの高まりと呼応するように、浴槽の中の波も次第に高くなってくる。
「もう出すぞ」
「あ――ゴルベーザ様――」
カインの喉奥から漏れた声を聞きながら、ゴルベーザは一気に奥まで突き入れた後、カインをきつく抱きしめてその中へ白濁した液を放った。
「――う――」
腕の中の身体がびくりびくりと戦慄いて、湯船の中を汚したことを知る。ゴルベーザに抱かれたままカインは自分の身体を支えていた腕の力をがっくりと抜いた。
「――カイン」
呼びかけると、その背中が動いてゆっくりと身を起こした。
「お前に口づけたい」
肩を掴むようにして身体を反転させると、湯にカインと自分の両方の身体を浸すようにしてその唇を貪った。
「んっ――んぅ――」
カインの唇と舌、口中の粘膜の柔らかさを味わい、離れ際にもう一度軽く口づけた。
離したくない。この身体を誰にも触れさせたくない。自分だけのものにしておきたい。
「カイン、俺が先ほど言ったことは忘れろ」
ゴルベーザはカインの耳元で低く囁いた。
「――ローザに触れることは許さん。あれは大事な人質だ」
カインはゴルベーザの腕の中でピクリと反応したが、すぐに答えた。
「……はい、ゴルベーザ様……」
従順なその唇とは裏腹に、蒼い瞳は苦しさを堪えようとするかのようにただ深く、暗い色を湛えていた。
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渡辺諄子
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女性
自己紹介:
※当然ですが、FF4の公式(スクエア・エニックス)とは一切関係ありません。ファンが好き勝手なことを書いているファンサイトです。しかも腐女子向け。
※カップリングはゴルベーザ×カインです。
※カップリングはゴルベーザ×カインです。