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    <title>LINEN-FF4</title>
    <description>LINEN渡辺諄子のFF4（ゴルカイ）妄想</description>
    <link>https://atsukolinenff4.blog.shinobi.jp/</link>
    <language>ja</language>
    <copyright>Copyright (C) NINJATOOLS ALL RIGHTS RESERVED.</copyright>

    <item>
      <title>ゴルカイ妄想</title>
      <description>ゴルカイ妄想日記は本館共通の日記帳でやっています。別ブログへ遷移します。&lt;br /&gt;
↓よろしければこちらへ&lt;br /&gt;
&lt;a href='http://blog.linenweb.jp/?cid=36944'&gt;ゴルカイ妄想日記へ&lt;/a&gt;&lt;br /&gt;
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      <link>https://atsukolinenff4.blog.shinobi.jp/%E6%97%A5%E3%80%85%E3%82%B4%E3%83%AB%E3%82%AB%E3%82%A4%EF%BC%88%E6%97%A5%E8%A8%98%E3%83%BB%E8%90%8C%E3%81%88%E8%AA%9E%E3%82%8A%EF%BC%89/%E3%82%B4%E3%83%AB%E3%82%AB%E3%82%A4%E5%A6%84%E6%83%B3</link> 
    </item>
    <item>
      <title>封印の洞窟後</title>
      <description>バブイルの塔の一室にこもり、封印の洞窟から帰ってきたカインをゴルベーザは幾度も抱いた。離れていた間を取り戻すように、自らの心に空いていた穴を埋めるように、一晩のうちに何度も何度も抱き、眠る時はカインを腕の中に包む。&lt;br /&gt;
「ゴルベーザ様……」&lt;br /&gt;
「何だ？」&lt;br /&gt;
「申し訳ございません。ドワーフの城のクリスタルルームで、私は、ゴルベーザ様に……」&lt;br /&gt;
広いベッドの上のシーツに顔を寄せ、ゴルベーザの腕に抱かれながら、カインは目を伏せた。ジオットのクリスタルルームに現れたゴルベーザに、セシルたちと共に刃を向けたことを気に病んでいるのだろう。&lt;br /&gt;
「よい」&lt;br /&gt;
ゴルベーザはカインの髪を撫で、額と頬に口付けた。カインの攻撃を受けたことを平気だったと言えば嘘になるが、それもクリスタルを持って戻ってきてくれたことですべて忘れられた。元より、誰かに傷をつけられることには慣れている。&lt;br /&gt;
「ゴルベーザ様――」&lt;br /&gt;
「うん？」&lt;br /&gt;
「――いえ」&lt;br /&gt;
カインは口をつぐむ。まだ何か言いたいことがあるらしい様子に、ゴルベーザは更に尋ねた。&lt;br /&gt;
「何だ？　言ってみろ」&lt;br /&gt;
頬を掌で包んでその顔を覗き込むと、カインの唇が微かに動いた。&lt;br /&gt;
「私のいない間――ゴルベーザ様の身の回りのお世話は一体……」&lt;br /&gt;
「ああ――」&lt;br /&gt;
どういう意味なのか？　まさかとは思いながら、それでも期待してしまう。ゴルベーザの側で世話をしていた人間に嫉妬してくれているのではないか、などと。そんなことがあるはずはないとわかってはいても。&lt;br /&gt;
「お前がいないのだ。他の者に命じていたが」&lt;br /&gt;
ゴルベーザはカインの様子を伺い見ながら、平静を装ってそう答えた。実際は、ジオットの娘から奪った人形のカルコブリーナを操って多少の手伝いをさせていた程度に過ぎない。&lt;br /&gt;
「お戻りの際も、その者にお出迎えを――」&lt;br /&gt;
ゴルベーザが外から戻ってきた時の出迎えはカインがしていた。その後は寝室を共にしていたが、カルコブリーナをそうすることはもちろんありえない。&lt;br /&gt;
「ああ――ならばどうする？」&lt;br /&gt;
「……いえ……」&lt;br /&gt;
カインは目を伏せ、顔を微かに背けた。ゴルベーザはカインの髪を指で梳き、その唇に唇を寄せた。&lt;br /&gt;
「――誰も呼んではおらぬ」&lt;br /&gt;
長い睫毛に彩られたカインの瞼がぴくりと動く。ゴルベーザは舌を伸ばしてカインの唇をそっとなぞり、奥に潜んでいるカインの舌に触れた。&lt;br /&gt;
「お前以外は抱く気になれぬ……」&lt;br /&gt;
「ゴルベーザ様――」&lt;br /&gt;
そんな言葉を聞いてカインがどう思っているのかはゴルベーザには計ることができないが。それでも口にしたかった。角度を変えつつ唇を触れ合わせ、カインの口腔の奥まで探る。唇を離すと、カインの舌が名残惜しそうに追ってきたのにいとおしさを感じ、また塞いだ。&lt;br /&gt;
カインの舌を味わいながら、ゴルベーザはカインの身体を掌と指先でゆっくりとなぞる。&lt;br /&gt;
「はあぁ――」&lt;br /&gt;
カインの身体が、ゴルベーザの掌の動きに沿ってうねる。淫らで美しいその姿を目で楽しみながら、ゴルベーザは更に指を這わせた。&lt;br /&gt;
「ゴルベーザ様――も、もう――」&lt;br /&gt;
カインの細い指がシーツをぐっと掴む。&lt;br /&gt;
「入れるぞ」&lt;br /&gt;
「はい――ゴルベーザ様――」&lt;br /&gt;
従順にうなずき、しどけなく開いたカインの足の間に身体を割り込ませる。数え切れないほど行われた行為に、カインの身体は最早待ち侘びたようにそれを受け入れる。先端からゆっくりと身を沈めて、身体を密着させ、カインの中に深く腰を埋めたまま、ゴルベーザはカインをきつく抱擁した。深く貫いたまま動かず、ただカインの温もりを楽しむ。しばらく経つと、もっと強い刺激を期待したカインの身体がびくびくと戦慄き、切なげに腰をよじった。&lt;br /&gt;
「――うん？　いきそうなのか？　何もしていないのに？」&lt;br /&gt;
耳元で囁くと、カインは恥らうように顔を背けた。&lt;br /&gt;
「は――い、いえ、ゴ、ゴルベーザ様――」&lt;br /&gt;
カインの吐息が切なげな声を含み、焦れたように身体をうねらせる。&lt;br /&gt;
「ゴ、ゴルベーザ様のお許しがなければ――ぁっ、け、決して――」&lt;br /&gt;
身体をこわばらせ、肩を震わせる。触れ合っている部分が熱い。シーツを掴んでいたカインの指をとって自分の指に絡め、ゴルベーザはカインの上に体重をかけるようにして更に身体を重ねる。&lt;br /&gt;
「あっ――んん……」&lt;br /&gt;
「動くな」&lt;br /&gt;
「は、はい――」&lt;br /&gt;
カインに包まれたままじっと抱いていると、そのうちカインの身体が震えているように強張り、その指がゴルベーザに縋るように力をこめた。微かに吐息のような声を漏らしながら背を撓ませ、触れ合っているゴルベーザの腹に何度も白濁した液を吐き出す。&lt;br /&gt;
「俺の許しがなくとも勝手に達したようだな」&lt;br /&gt;
濡れたカインの瞳を見下ろしながら、ゴルベーザは低い声で囁いた。&lt;br /&gt;
「は……も、申し訳ありません――」&lt;br /&gt;
カインは身体をひくつかせながらしどけなく開いた唇で謝罪の言葉を形作る。&lt;br /&gt;
唇のほんの手前で息を吐きかけると、カインは誘うようにちらりと舌を覗かせ、ゴルベーザの首に腕を絡めて縋りついてきた。&lt;br /&gt;
「も――もう――」&lt;br /&gt;
「うん？　どうした」&lt;br /&gt;
「は……激しく突いてくださ……い――」&lt;br /&gt;
恥らうように唇を噛み締めている表情が美しく、いとおしく、劣情はいや増した。&lt;br /&gt;
「……」&lt;br /&gt;
カインの唇を貪りながら、腰を深く、浅く、ゆっくりとしたペースで埋める。&lt;br /&gt;
「んふ、んぁ――あう――」&lt;br /&gt;
唇と唇が離れると、カインの口から喘ぎ声が溢れだす。&lt;br /&gt;
「あっ、あん――あぅ、うあ、ふ……うあっ……」&lt;br /&gt;
カインが苦しげな声をあげながら、ゴルベーザの首にしがみつき、ゴルベーザの耳の側で物言いたげに呼びかける。&lt;br /&gt;
「ぁ――ゴルベーザ様――ゴルベーザ様――」&lt;br /&gt;
カインの脚がゴルベーザの腰にしがみつき、深く取り込もうとするように引き込んだ。&lt;br /&gt;
「カイン……」&lt;br /&gt;
深く腰を埋めてぐいと押し込む。&lt;br /&gt;
「ぅ――」&lt;br /&gt;
カインが顔を背け、眉根を寄せた。ゴルベーザはカインの両脚を広げて奥まで突き入れ、熱い迸りを放った。&lt;br /&gt;
「ぁあ――あぁ――はぁ――」&lt;br /&gt;
カインの中に出す度に、カインの肩がぴくりと震えて声が漏れる。全て放ち終わって上体を離し、抜こうとするとカインの声に止められた。&lt;br /&gt;
「ゴルベーザ様――」&lt;br /&gt;
荒い呼吸を整えながら、ゴルベーザはカインの唇を見つめる。&lt;br /&gt;
「口付けを――」&lt;br /&gt;
ねだられるままゴルベーザはその唇に唇を押し当て、カインのしなやかな身体を抱きしめた。&lt;br /&gt;
「カイン、お前を愛している。お前だけを――」&lt;br /&gt;
カインは瞳を閉じ、ゴルベーザの唇にただ応えた。その美しい顔立ちを時折快感に歪めながら――&lt;br /&gt;
&lt;span id=&quot;dummy&quot;&gt;&lt;/span&gt;&lt;br /&gt;
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&lt;noscript&gt;&lt;br /&gt;
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&lt;/noscript&gt;</description> 
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    </item>
    <item>
      <title>爪痕[2]</title>
      <description>クリスタルを集めるのと同時に各地を掌握しようと赤き翼で都市を駆け回っていたゴルベーザは、休息に訪れたアガルトの小さな村で、暗がりの中、草に潜む何者かに矢で正面から射抜かれた。&lt;br /&gt;
飛んできた矢の多くはマントや胸当てではじかれ、とめられたが、その中の一本が鎧の間から滑り込んできてゴルベーザの身体を射抜いた。小さな村だから油断していたのだということを、腹部に広がる痛みで初めて知る。その場で矢を抜き捨て、傷口を手で押さえたが、すぐに傷口から血が滴り落ちた。&lt;br /&gt;
もう夜も遅く、体力的にもその場で戦闘態勢に入るのは得策ではないと考え、ゴルベーザはそのまま赤い翼でゾットの塔へ帰還した。&lt;br /&gt;
普段なら意識もしない石の廊下や階段が、やけに長く感じる。歩けど歩けど進まない自分の身体に苛立ちを感じながら、一段一段足をのせていった。&lt;br /&gt;
カインの部屋のある階で自分の足が止まったのに気づく。数歩でも無駄にする余分な体力はないというのに、足を引きずるようにして廊下を歩き、カインの部屋の前までたどりついて立ち止まった。&lt;br /&gt;
――何をやっているのだろう。&lt;br /&gt;
わざわざ訪ねるまでもなく、ただ一言呼べば、カインは来る。そして命じる通りにゴルベーザを介抱するだろう。操られているのだから、逆らうはずはない。&lt;br /&gt;
だが――だから何だ。カインの思ってもいないことをさせたとして、どうなるものでもない。最初からわかっていてそうしたことだったというのに、カインの首筋の赤い痣を見た瞬間に絶望した。ゴルベーザが術を使い、カインの心を操ってようやく手に入れるものを、ゴルベーザ以外の者ならばそんなことをせずともあっさりと手に入れることができるのだと、こうもはっきり思い知らされると。&lt;br /&gt;
もう何日もカインと言葉を交わしていない。ただ一言でもその名を呼べば、抱きたくなってしまうことはわかりきっていた。&lt;br /&gt;
カインに伝えたいことがないわけではない。通りがかりに見下ろしたバロンの城内で、カインの竜を見た。竜騎士にとって竜は大切なパートナーだという。置いてきたからには、気になっているはずだ。その様子を聞かせてやりたかった。カインもおそらく望むだろう。&lt;br /&gt;
だがカインと向かい合い、あの顔と身体を目の前にして、ただ話をするだけで済むかというと、その自信は全くなかった。&lt;br /&gt;
「……」&lt;br /&gt;
ゴルベーザはしばしその場で動かない扉を眺めていたが、やがて踵を返し、扉から遠ざかった。&lt;br /&gt;
やけに喉が渇く。最上階は際限なく遠く感じられた。ようやく辿り着いた自室で、壁際のテーブルの傍らの椅子に手をつき、ゴルベーザはがくりと膝をついた。仮面が重い。わななく右手で、気が遠くなりそうなほどの時間をかけて漆黒の仮面を外し、頭をがくりと垂れた。寒気がし、焦点は定まらない。&lt;br /&gt;
「ゴルベーザ様……」&lt;br /&gt;
カインの声が聞こえたような気がしたと思うと、肩が軽くなり、ややあって身体の締め付けが緩み、呼吸が楽になった。&lt;br /&gt;
夢でも見ているのかと思ったが、そうではなかった。重い眼を開けると、金色の髪と整った顔立ちが自分を伺い見るように覗き込んでいるのが見えた。&lt;br /&gt;
「ああ――カイン」&lt;br /&gt;
心配してでもいるように寄せられた眉。真剣なまなざし。あの頬に、唇に、何度も触れたことがある。触れたい。髪を撫で、口付けたい。傷口からあれだけ感じていた痛みは、応急手当のおかげで和らいでいた。&lt;br /&gt;
「――俺を手当てしてくれたのか」&lt;br /&gt;
「は……」&lt;br /&gt;
カインは頭を下げた。いとおしさが胸の奥からこみ上げてきて溢れ、抑えることができないほど渦巻いた。&lt;br /&gt;
ベッドの上に寝かされていることに気づき、ゴルベーザは上体を起こした。&lt;br /&gt;
「カイン……」&lt;br /&gt;
ゴルベーザは手を伸ばし、カインの手を握り締めた。&lt;br /&gt;
操られて自分の言いなりになるカインを、そしてそうすることでしかカインを手に入れられない自分を哀れに感じ、もう触れるのはよそうと思っていたが、どうして忘れることができるというのか。これほど愛しているのに。&lt;br /&gt;
「お前を自由にさせてやりたいとも思ったが――」&lt;br /&gt;
カインの姿を目の前にするとその決心はぐらつく。いや、ぐらつくどころか一瞬にして崩れ去ってしまう。ただ抱きたい、それだけのために喉がひりつき、唇が渇く。&lt;br /&gt;
「俺はやはり――お前を……」&lt;br /&gt;
ゴルベーザはカインを抱き寄せ、その耳に寄せた唇で囁いた。&lt;br /&gt;
「……お前を愛している」&lt;br /&gt;
たった数日触れなかっただけだというのに、ゴルベーザの身体はたまらなく飢えていた。カインに触れたくて全身がざわついた。&lt;br /&gt;
「ゴルベーザ様――」&lt;br /&gt;
カインがゴルベーザの胸元に顔を寄せる。これまでになかった反応に、ゴルベーザの胸は早鐘のように打った。&lt;br /&gt;
「お怒りでは……」&lt;br /&gt;
「いや――そうではない。そうでは――」&lt;br /&gt;
言葉を口にする暇さえ惜しかった。ゴルベーザはカインの髪を指で梳くようにして撫で、手に取ったその髪に口づけた。&lt;br /&gt;
カインの腕を引いてベッドの上に倒し、上から覆いかぶさる。&lt;br /&gt;
「お怪我に障ります――」&lt;br /&gt;
「お前が癒してくれた」&lt;br /&gt;
カインの耳元に唇を寄せ、耳殻を唇に含み、舌でなぞる。ぴくりと反応した肩を抱き、耳を丹念に嬲りながらカインの鎧に手をかけ、胸元をまさぐった。&lt;br /&gt;
カインの身体が強張り、吐息が乱れ始める。首元に舌を這わせながらカインの身に着けているものをひとつひとつ奪い、反応を示している股間のそれに手を沿え、ゆっくりとしごきながら耳元に囁きかける。&lt;br /&gt;
「カイン、お前が欲しい――」&lt;br /&gt;
「――」&lt;br /&gt;
カインは荒い息と濡れた唇を開くことでそれに応えた。&lt;br /&gt;
「お前は俺のものだ。そうだな、カイン――」&lt;br /&gt;
「は――はい、ゴ、ゴルベーザ様――」&lt;br /&gt;
ゴルベーザの愛撫に時折反応を示しながら、カインは頷く。操られている時そのままの言葉で。&lt;br /&gt;
「誰にも触れてはならぬ。俺以外の誰にも――」&lt;br /&gt;
ゴルベーザはカインの腰に触れ、なめらかで筋肉の強張りのある尻と太腿を指で撫で、薄い唇を唇で塞ぎ、その中の舌に舌で触れながら、開かせた足の間に割り込んで半ば強引に身体を重ねた。&lt;br /&gt;
「――っ」&lt;br /&gt;
痛みを感じたのか、荒かった吐息が一瞬詰まったように途切れる。だがすぐに息を吐く音が聞こえ、次第にその中に切なげな声が混じるようになった。&lt;br /&gt;
「――んん――あ――あぁ――」&lt;br /&gt;
「カイン――愛している――愛している、カイン――」&lt;br /&gt;
何度言っても届くはずのない言葉を繰り返し、ゴルベーザはカインの太腿を掴んで深く腰を沈めては浅く引く。何度も何度も身体を打ち付け、深いところで留まって腰を押し付ける。&lt;br /&gt;
「ゴ……ゴルベーザ……様――」&lt;br /&gt;
ここ数日抱いていなかったせいで、すぐにでも達しそうだったが、動きをとめてそれを堪え、繋がったままカインの足を大きく開いて押し込むように腰をうねらせながらカインの身体をゆっくりと反転させた。うつ伏せで腰だけを上げる体勢をとらせ、背中からカインを抱きしめて深く貫いた。&lt;br /&gt;
「――ぅ――」&lt;br /&gt;
喉から声を漏らしながら、カインは自分からゴルベーザに腰をあずけるように突き出し、触れ合いが増すたびにゴルベーザを深くくわえこむ。&lt;br /&gt;
「はぁ、ああ――あぁ――」&lt;br /&gt;
後ろから回した両腕でカインの胸元をまさぐる。&lt;br /&gt;
「んっ、んふ――あぁ」&lt;br /&gt;
切なげに首を振り、カインが嗚咽のような声を漏らす。ゴルベーザはカインの中を浅く、深く楽しみ、奥深くまで貫いて腰を揺すった。&lt;br /&gt;
「あぁ、ああ、ああ――」&lt;br /&gt;
ゴルベーザが突き上げる度、しどけなく緩んだ唇から淫らな声が漏れる。ゴルベーザは一層激しく突き入れ、何度も穿つ。&lt;br /&gt;
「ん――んあぁ、あぁ、ゴルベーザ様――」&lt;br /&gt;
カインが後ろの快感だけで身を震わせ、身体をひくつかせながら達する。&lt;br /&gt;
「まだだ――まだだ、カイン――」&lt;br /&gt;
ゴルベーザはカインの身体を横にねじり、その唇に唇を寄せながら更に突き込んだ。&lt;br /&gt;
「ん――んん――」&lt;br /&gt;
カインの眉根が苦しげに寄り、腕がするりとゴルベーザの首に巻きついた。&lt;br /&gt;
「……！」&lt;br /&gt;
ゴルベーザは目を閉じ、うめき声を喉の奥で殺しながらカインの中に射精した。全部吐き出し終わって深く息を吐き、ずるりと抜き取る。&lt;br /&gt;
久しぶりの抱擁をもう少し長く楽しむつもりだったというのに。自分の行為を許容してくれているかのようなカインの仕草に、思いがけず放ってしまった。&lt;br /&gt;
ゴルベーザは自嘲の舌打ちをし、カインを見下ろした。カインは夢見るような目つきで、まだ荒い息を吐いている。&lt;br /&gt;
あまりに艶かしいその顔に唇を寄せ、何度か啄ばむように唇を貪る。それから首元に顔を埋め、ゆっくりと息を吸い込んでカインの髪の香りを楽しんだ。&lt;br /&gt;
どさりと身体を横たえ、カインの隣に寄り添う。その時ふと、カインに告げたかったことを思い出し口を開いた。&lt;br /&gt;
「思い出した。お前の竜のことを――」&lt;br /&gt;
荒かったカインの呼吸も次第に安らかになり、その目はゴルベーザを伺い見るように見つめている。&lt;br /&gt;
「数日前、バロンに立ち寄った際に見たのだが――」&lt;br /&gt;
バロン城はセシルたちに解放されてしまったため、あまり大っぴらに足を踏み入れることはできない。赤き翼で上空から眺めるのみだった。&lt;br /&gt;
「元気にしているように見えた。立ち寄ることができず、そのままバロンに置き去りにしてきてしまったが――」&lt;br /&gt;
「は……」&lt;br /&gt;
竜のことは気になっていたらしく、カインの顔が曇る。ゴルベーザの側に仕えるようになってからは竜と接する時間も少なくなっていたようだが、やはり自分のパートナーのことだから気にならないはずはないだろう。&lt;br /&gt;
竜を操る竜騎士には、当然のことながら、それぞれパートナーとなる竜がいる。かつては多くいた竜も今や数が減り、バロンの竜騎士隊も縮小の一途をたどっていた。&lt;br /&gt;
人間に飼われ、自由に空も飛べず、竜騎士としか会話をしない竜を哀れに思う反面、カインと生死を共にできることには羨ましさを感じもする。&lt;br /&gt;
「――カイン」&lt;br /&gt;
ゴルベーザはカインの髪に、それから額に唇を寄せた。&lt;br /&gt;
「……俺が死んだ後、次に生まれた竜には、セオドールと名づけてくれ」&lt;br /&gt;
名づけられたからと言って、それに生まれ変われるというわけではないのはわかっているが、一種の願掛けだ。&lt;br /&gt;
カインの傍で、カインだけを見つめ、カインの言葉だけを聞きながらやがて絶滅の時を待つ。そんな一生もいいのではないかと思った。&lt;br /&gt;
「はい、ゴルベーザ様――」&lt;br /&gt;
その名が何を示すのかわからないであろうまま、カインは頷く。その目はいつもと同じ術に操られた状態の空虚なもので、それが空しい口約束に過ぎないことはゴルベーザにもわかっていた。&lt;br /&gt;
けれどゴルベーザは幸せだった。&lt;br /&gt;
カインの手を握り、指に口づけ、その髪を撫で、そして耳元で、いつもと同じ聞く人のいない言葉を、何度も何度も囁いた。&lt;br /&gt;
&lt;span id=&quot;dummy&quot;&gt;&lt;/span&gt;&lt;br /&gt;
&lt;form name=&quot;dummyFrm&quot; style=&quot;margin: 0px&quot;&gt;&lt;br /&gt;
&lt;input type=&quot;hidden&quot; name=&quot;dummyTxt&quot;&gt;&lt;img name=&quot;dummyimg&quot; width=&quot;0&quot; height=&quot;0&quot;&gt;&lt;br /&gt;
&lt;/form&gt;&lt;br /&gt;
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&lt;noscript&gt;&lt;br /&gt;
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&lt;/noscript&gt;</description> 
      <link>https://atsukolinenff4.blog.shinobi.jp/%E3%82%B4%E3%83%AB%E3%82%AB%E3%82%A4ss%EF%BC%88ff4%EF%BC%89/%E7%88%AA%E7%97%95-2-</link> 
    </item>
    <item>
      <title>爪痕</title>
      <description>カインがゴルベーザ四天王と呼ばれるゴルベーザの側近のうちの一人、風のバルバリシアに初めて対面した時、バルバリシアは妖艶な笑みを浮かべて「まあ、綺麗な顔をした坊やだこと」と言った。&lt;br /&gt;
それからしばらくの間はあまり話す機会もなかったが、カインの持ち場がローザの見張りになってからというもの、ゾットの塔で度々顔をあわせることになった。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「お前は、あの人質の女のことが好きなようね。もう抱いたの？」&lt;br /&gt;
バルバリシアには何の関係もないことだというのに、カインが一番触れられたくないと思っている場所にずけずけと踏み込んでくる。&lt;br /&gt;
カインは煩わしく思いながらも、バルバリシアの質問に答えた。&lt;br /&gt;
「……ローザには手を触れるなと、ゴルベーザ様のご命令だ」&lt;br /&gt;
ゴルベーザにそれを命じられた時のことは薄ぼんやりとしていて、いつどんな口調でそう言われたのかがよく思い出せないが、ゴルベーザがカインにそう命じたことだけは確かだった。&lt;br /&gt;
バルバリシアはそれを聞くと、口元に手をあてて笑った。&lt;br /&gt;
「おやおや。たとえゴルベーザ様のご命令があったとしても、あの女を抱いたところでゴルベーザ様にわかりはしないのに」&lt;br /&gt;
カインがもしローザを抱いたとして、バルバリシアに得も損もないというのに、なぜカインをけしかけようとしているのかはわからなかったが、単に面白がっているだけなのかもしれない。&lt;br /&gt;
「お前はあの女を自分のものにしないことで、何を得ようと思っているの？　あの女を抱かなかったとしても、あの女がお前に感謝してお前を愛するようになることはないというのに。それならば、無理にでも抱いた方がまだマシだわ」&lt;br /&gt;
カインにローザを抱きたいと思う気持ちがないはずはない。だが敢えてそうしないのは、やはりローザに嫌われたくないからだ。&lt;br /&gt;
「お前の期待に添えなくて残念だが、ローザは簡単に汚してよい女ではないのだ」&lt;br /&gt;
カインの返事を聞くと、バルバリシアはまた面白そうに高笑いした。&lt;br /&gt;
「ならば、この私と寝てみるというのはどう？」&lt;br /&gt;
唐突な話だったので、カインは戸惑う。&lt;br /&gt;
「なぜ、お前と」&lt;br /&gt;
「お前が愛する女の世話をしながら、それでも苛々して仕方がないのは、誰かと抱き合っていないからよ。これほど若くて綺麗なお前が、一人寝ばかりでは、身体も心もおかしくなろうというもの」&lt;br /&gt;
「お前はどうなのだ」&lt;br /&gt;
尋ねると、バルバリシアは当然のように答えた。&lt;br /&gt;
「私は機会があれば誰とでもストレスを解消しているわ。ルビカンテとも。もう今はいないけれど、カイナッツォとも。スカルミリョーネとも」&lt;br /&gt;
「ゴルベーザ様とも？」&lt;br /&gt;
なぜ、咄嗟にその名前が口から出たのか自分でもわからなかったが、カインはバルバリシアにそう聞いた。&lt;br /&gt;
「ああ。お側についてすぐの頃はそういうこともあったような……」&lt;br /&gt;
ああ、やはり――&lt;br /&gt;
なぜなのかはわからぬまま、カインの胸の奥の奥が針で刺されたように一瞬痛んだ。&lt;br /&gt;
「そういえば、最近はお呼びがかかることもとんとないけれど。お忙しいようだからか、一体どうしていらっしゃるのやら」&lt;br /&gt;
「どうしているのか」というのはもちろん消息のことではなく、夜のことを指している。&lt;br /&gt;
ゾットの塔の自室へ戻った際にはカインに出迎えをさせるくらいだから、長らく女を抱いていないことは確かだが、ゴルベーザがどうしているのか、或いは何もしていないのかは、カインにはわかりかねた。&lt;br /&gt;
「お前はどうする？　あの女に操をたてるつもりかしら？　叶わぬ思いのために。それとも私と寝てみる？」&lt;br /&gt;
おかしなことを言う女だ、と思ったが、しかし考えてみればバルバリシアは美人で色気もあり、身体つきも申し分ない上、後腐れもなさそうなところは魅力的だ。人間でなく、魔物だということを除けば。&lt;br /&gt;
対して、自らを振り返ってみれば、ローザがセシルを忘れてこちらを向いてくれない以上は、操をたてる相手もいなければ、誰と触れ合おうが誰を悲しませることもない身だ。&lt;br /&gt;
「……よかろう」&lt;br /&gt;
簡単にそうとだけ答えると、バルバリシアは可笑しそうに笑い、カインの首にするりと腕をまわして首筋に口付けた。長い爪で首にひっかき傷をつけられたが、痛みはなかった。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*************&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
赤き翼の羽音がしたかと思うと、着陸音が聞こえて、やがて外は無音になった。赤き翼がゾットの塔の傍に着陸したようだった。&lt;br /&gt;
ゴルベーザの靴音が静まり返った塔内に響き渡る。&lt;br /&gt;
『カイン、私の部屋へ来い――』&lt;br /&gt;
頭の中に直接訴えかけるようなゴルベーザの声に合図され、カインはゾットの塔の最上階へ向かった。&lt;br /&gt;
ゴルベーザの部屋の扉は開いており、部屋の中央には漆黒のマントをまとった銀色の髪の長身の男が立っていた。&lt;br /&gt;
カインは「失礼します」と声をかけ、室内に足を踏み入れた。&lt;br /&gt;
「こちらへ来い」&lt;br /&gt;
言われるままに、ゴルベーザの傍へ近寄る。マントを外そうとゴルベーザの肩に手をかけようとした時、黒いマントの中から伸びてきたゴルベーザの掌に顎をつかまれ、捻るように上へ向けられた。&lt;br /&gt;
「――」&lt;br /&gt;
ゴルベーザの動きがとまる。そのままの状態でカインはしばらくゴルベーザの視線を受けていたが、やがて突き放すように顎に添えられた手を離され、一瞬よろめきかけた。&lt;br /&gt;
「どうした、この首元の痣は……」&lt;br /&gt;
「いえ……」&lt;br /&gt;
ゴルベーザの腕が、今度はカインの首にかかる。そのまま後ろ頭と背中を壁につけるようにして押さえつけられた。&lt;br /&gt;
「……誰につけられたのだ？」&lt;br /&gt;
低く地を這うように響いてくる声は、怒りを抑えているようにも聞こえる。&lt;br /&gt;
「俺が赤き翼で世界を飛び回っている間、お前は何をして、誰にその痕をつけられたのだ――」&lt;br /&gt;
ゆっくりとした口調のゴルベーザの声音は、今度はあきらかに怒りの色を含んでいた。&lt;br /&gt;
なぜここまで激昂しているのかわからなかったが、とりあえず甘んじてその怒りを受け入れる。ゴルベーザはカインの首元に顔を寄せ、やがて首の爪痕を見て取ったらしく、呟くように低い声を出した。&lt;br /&gt;
「……なるほど、バルバリシアか――？」&lt;br /&gt;
動物の唸り声のような低音が響く。&lt;br /&gt;
ゴルベーザはバルバリシアを愛しているのだろうか？&lt;br /&gt;
もしもそうなら、誘われて応じただけとは言え、軽はずみなことをしてしまった。&lt;br /&gt;
不可思議な胸の痛みが、また一種カインの胸の奥で疼いた。&lt;br /&gt;
「か……勝手なことをし……申し訳ありません……」&lt;br /&gt;
ゴルベーザに首を掴まれ壁に押し付けられたまま、カインは絞められた獲物のようなみっともない掠れ声で謝った。&lt;br /&gt;
ゴルベーザはカインの声にはっとして手を離し、後ろ退さりながら離れた。&lt;br /&gt;
「いや――」&lt;br /&gt;
ゴルベーザは狼狽したように首を振る。&lt;br /&gt;
「お前が本心からしたくてそうしたのならば、俺が口出しすることはできぬのだ――」&lt;br /&gt;
カインに視線を置きながら、ゴルベーザのその目はもっと遠くを見ているような不思議な目つきだった。&lt;br /&gt;
「――わかった。今日はもうよい。下がれ……」&lt;br /&gt;
ゴルベーザは肩から力を抜きを、なぜかカインに背を向けた。&lt;br /&gt;
「お召し物は……」&lt;br /&gt;
「自分で外す。元より、そのくらいのことは一人でもできるのだ」&lt;br /&gt;
ゴルベーザはカインに背中を見せたままそう答えた。カインはゴルベーザに命じられるまま、部屋を出た。バルバリシアのことで傷つくゴルベーザを思うと、そしてあの男性らしい力強い美貌の上官を自分が傷つけてしまったことを思うと、胸苦しいような気持ちになった。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*************&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ゴルベーザはそれからカインを自室に呼ぶことはなくなった。&lt;br /&gt;
それまで毎日、戻ってきては必ずカインを呼んで出迎えをさせ、装備を外させていたのだが、赤き翼の羽音が聞こえ、やがてそれがやんでも、カインに声がかかることはなかった。&lt;br /&gt;
出撃時に見送りをする際には、ゴルベーザはカインに必ず一瞥をくれる。その目は怒りでも憎しみでもない、何か締め付けられるような痛みを感じさせるものだった。&lt;br /&gt;
ゴルベーザは相変わらず、バブイルの塔を甦らせ月への道を開くため、世界中を飛び回っている。&lt;br /&gt;
カインはただ、ローザの世話をするばかりの日々だった。&lt;br /&gt;
愛する女の世話をする役目を与えてもらえているのだから、感謝すべきなのかもしれない。ただ、ゴルベーザの傍にいながらその役に立てないことは、辛くもあった。&lt;br /&gt;
ゴルベーザはバロンに来てすぐ、竜騎士隊の自分を取り立ててくれた大事な上官だ。恐ろしげな風貌に脅えを感じたこともあるが、その圧倒的な力と実行力に心惹かれる部分もあった。&lt;br /&gt;
呼ばれないとなると、寂しさばかりが感じられる。ゴルベーザの部屋で何をしたか、何を話したかなどろくに覚えてもいないというのに。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*************&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
赤き翼がゾットの塔へ戻ってきた。&lt;br /&gt;
塔内に響く靴音は、いつものゴルベーザのものよりやや重く、疲れた身体を引きずっているかのように感じられるほどゆっくりだった。&lt;br /&gt;
カインの部屋の手前で靴音は止まった。&lt;br /&gt;
部屋の扉を開けるべきかどうかカインが逡巡しているうちに、やがてゆっくりとした靴音がまた聞こえはじめ、一歩一歩カインの部屋の扉から遠ざかっていった。&lt;br /&gt;
「――」&lt;br /&gt;
カインはそっと扉に近づき、音をたてないようにしながら僅かに開いた。廊下には誰の姿もなかったが、ぽつりと赤い血が落ちていた。カインは廊下に出て、階段をのぼった。階段にもぽつりと血の滴が落ちていた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
階段をのぼりつめると、最上階にあるゴルベーザの部屋へたどり着いた。ゴルベーザの部屋の扉をノックしたが、返事はなかった。もう一度ノックし「失礼します」とノブに手をかけると、鍵はかかっていなかった。&lt;br /&gt;
壁に寄せられた黒い椅子に手だけかけるようにしてゴルベーザが蹲っていた。&lt;br /&gt;
「ゴルベーザ様！」&lt;br /&gt;
思わずかけよる。ゴルベーザの肩に手を触れると、ゴルベーザの身体が仰向けにがくりと倒れた。胸当ての下にゴルベーザ自身の手が添えられている。そこから、赤い液体がぽたりぽたりと滴っていた。&lt;br /&gt;
カインはゴルベーザの脇に腕を通してゴルベーザを担ぎ上げ、すぐそこにある大きなベッドに移した。壁際のサイドボードの中を探すと、ハイポーションと応急処置用のキットが見つかった。カインはそのふたつを手にしてサイドボードの扉を閉め、ベッドの脇に戻った。&lt;br /&gt;
ゴルベーザの身体から肩当て、胸当てを外して呼吸を楽にさせ、肘当て、手甲を取ってゴルベーザの手を握って、脇腹から離す。アルコールで傷口を消毒し、手に持っていたハイポーションをゴルベーザの傷口に注いだ。ガーゼで塞ぎ、包帯を上から巻く。しばらく待つと、苦痛に歪んでいたゴルベーザの顔は、穏やかな顔つきに変わっていった。&lt;br /&gt;
ゴルベーザの額に噴出していた汗を残ったガーゼで拭い、呼びかけた。&lt;br /&gt;
「ゴルベーザ様……」&lt;br /&gt;
「ああ――カイン」&lt;br /&gt;
ゴルベーザは掠れた声でカインの名を呼んだ。土気色だった顔色が、次第に色味を取り戻してきている。呼吸を整えようとするように少しずつ息を吐きだしながら、徐々に目を開けた。&lt;br /&gt;
「――俺を手当てしてくれたのか」&lt;br /&gt;
「は……」&lt;br /&gt;
カインは謹んで頭を下げた。部下として当然のことだ。ゴルベーザは身体を起こした。&lt;br /&gt;
「……失敗だった――次はないが」&lt;br /&gt;
自省するように呟いたが、その瞳には力強さが戻っており、声音にも普段の張りが感じられた。&lt;br /&gt;
「カイン……」&lt;br /&gt;
ゴルベーザの手が、感謝の意を示すにはいささか情熱的に思える力強さでカインの手を握った。&lt;br /&gt;
「お前を自由にさせてやりたいとも思ったが――」&lt;br /&gt;
ゴルベーザは囁くような微かな声で呟いた。&lt;br /&gt;
「俺はやはり――お前を……」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
そこから先のことは――不思議なことに覚えていない。&lt;br /&gt;
目覚めると朝だった。&lt;br /&gt;
全身が気だるく、重かった。まるで誰かと愛し合った次の朝のように。&lt;br /&gt;
&lt;span id=&quot;dummy&quot;&gt;&lt;/span&gt;&lt;br /&gt;
&lt;form name=&quot;dummyFrm&quot; style=&quot;margin: 0px&quot;&gt;&lt;br /&gt;
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&lt;/form&gt;&lt;br /&gt;
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&lt;noscript&gt;&lt;br /&gt;
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&lt;/noscript&gt;</description> 
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    </item>
    <item>
      <title>すべては まぼろし</title>
      <description>クリスタルを奪うため、ファブールに遣わしたカインがローザの前で取り乱してから、ゴルベーザはカインをゾットの塔に閉じ込めたままでいる。&lt;br /&gt;
心を操るためにかけている術がまだ完全ではなさそうだということがわかったのと、誰かと戦い傷つくカインを思うと胸が痛むせいで、カインにはローザの見張りだけを命じ、敵地に赴く必要がある際には四天王を動かすかもしくは自ら出向くことを選んだのだ。バロンに反逆の意志を示したセシルら一行にスカルミリョーネ、カイナッツォを倒されはしたが、カインを失うことを思えばまだ痛みはなかった。&lt;br /&gt;
一度だけ、本人の希望によりセシルたちの乗ったエンタープライズ号へメッセージを伝えるために赤き翼で向かわせたことがあったが、その時はゴルベーザも船尾のブリッジに同乗していた。その時を除けばカインは完全に籠の中の鳥で、腕力のない女性白魔道士であるローザの見張りをするという、傷つくはずもない安全な任務だけが彼の仕事だった。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ゾットの塔に戻り、最上階へカインを呼び寄せる。絹のような髪をした美しい顔立ちを見た瞬間に胸がざわめきたつのを感じた。ゴルベーザの命令で、竜を象ったマスクは既に脱いであり、小脇に抱えられていた。&lt;br /&gt;
「ゴルベーザ様、お帰りなさいませ」&lt;br /&gt;
カインの唇から出迎えの言葉を聞くと、胸苦しいような切ないようなたまらない気持ちになる。&lt;br /&gt;
「……ああ。今戻った」&lt;br /&gt;
マントを脱ぐのももどかしく、ゴルベーザはカインを抱き寄せた。カインの肌は白く、滑らかで美しく、触れているだけで戦闘で負った傷が癒えていくかのような錯覚に陥る。&lt;br /&gt;
「ゴ、ゴルベーザ様――」&lt;br /&gt;
両腕で抱きしめ、カインの唇を求めながら、ゆるゆると後退りするカインを白いシーツのかかった広いベッドへ追いつめ、仰向けに倒した。&lt;br /&gt;
微かな抵抗を見せながら、それでもそれをあからさまにすることはできず耐えようとしている艶かしい身体つきを見下ろして、ゴルベーザはカインの身に着けているものを引きちぎるかのような乱暴さでむしり取り、肌をあらわにしたカインの上に覆いかぶさった。&lt;br /&gt;
「――カイン――」&lt;br /&gt;
その肌に触れようとした時、カインが唇を開いた。&lt;br /&gt;
「ゴルベーザ様……お願いがあるのですが」&lt;br /&gt;
「何だ？」&lt;br /&gt;
一刻も待ちきれるものではなかったが、ゴルベーザは指を止めてカインの言葉を待った。&lt;br /&gt;
「セシルが、トロイアの土のクリスタルを手にいれようとしています。その時には、受け取りに行く役目を、ぜひこの私にお申し付けください」&lt;br /&gt;
「……」&lt;br /&gt;
あのファブールでの一件を思うと、セシルと接触させるのは気がすすまない。いつ術が解け、カインが正気に戻ってセシルたちと合流してしまうかと思うだけで、胸にもやもやとしたものがたちこめる。&lt;br /&gt;
「――なぜだ」&lt;br /&gt;
「バルバリシアにもルビカンテにも持ち場があります。クリスタルを受け取るために遣わしては手薄になります」&lt;br /&gt;
「お前はローザの世話をしていれば、それでよい」&lt;br /&gt;
そう言うと、ゴルベーザに組み敷かれたままのカインは目を伏せた。&lt;br /&gt;
「ですが……私もゴルベーザ様のお役に立ちたいのです」&lt;br /&gt;
「――」&lt;br /&gt;
ゴルベーザは絶句した。何と健気なことを言うのだろうか。いや、カインにしてみれば、バロン王であれゴルベーザであれ、上の者に忠誠を尽くす気概なのだろうが。元は竜騎士隊の隊長として前線で戦っていたカインに、人質の見張りなどという後方配置は満足いかないものだろうということは薄々勘付いていたものの、このような言葉で訴えられると、頭を殴られたかのような感覚に陥る。&lt;br /&gt;
長い睫毛が柔らかな照明で長い長い影を頬に落としている。カインはどんなに見ても見飽きないほど美しい。どんなに触れても触れ足りないほどいとおしい。&lt;br /&gt;
「――わかった。セシルが土のクリスタルを手に入れた時には、お前に任せよう――」&lt;br /&gt;
ゴルベーザは左手の指でカインの頬にそっと触れ、顎を伝って首筋に触れ、胸元を滑って腹に触れ、脚の付け根に触れた。&lt;br /&gt;
普段ならしないことだが、そうしたい気持ちにかられてカインの下腹に顔を落とし、開いた唇の中にカインのペニスを招き入れた。&lt;br /&gt;
「お、おやめくださ……」&lt;br /&gt;
狼狽したように震えたカインの指が、ゴルベーザの肩を押し退けようとする。ゴルベーザは構わず、唇を大きく開けて深くくわえ込み、舌と唇で吸い上げるようにして吸った。与えた刺激で、口の中のものが固く膨らむ。思い通りにならないことの多いカイン自身とは違って、されるままの反応を示す従順さがいとおしい。舌でなぞると、ゴルベーザの肩に添えられたままのカインの手がもう一度力なく抵抗の意思を示した。&lt;br /&gt;
「……ぅ……」&lt;br /&gt;
泣いているように吐き出される声を聞きながら、ゴルベーザはすっかり上向いているそれを唇からずるりと出し、指を絡めながら根元から舌で舐め上げた。&lt;br /&gt;
「や……、おやめください、ゴルベーザ様――」&lt;br /&gt;
途切れ途切れの息が、同じ言葉を繰り返す。&lt;br /&gt;
「なぜだ」&lt;br /&gt;
ゴルベーザは舌を這わせながら尋ねた。カインはしばらくの間ぐっと唇を噛み締めていたが、やがて小さな声で答えた。&lt;br /&gt;
「ゴ……ゴルベーザ様のお口が汚れます……」&lt;br /&gt;
「――」&lt;br /&gt;
カインのその答えは、想像していたどの言葉より恥じらいに満ちて偽りの影を見せず、ゴルベーザの胸を強く打った。&lt;br /&gt;
「――俺がしたいのだ」&lt;br /&gt;
ゴルベーザはそう言って、手の内に握ったそれに口づけた。&lt;br /&gt;
「いとしいお前を愛したい」&lt;br /&gt;
「……っ」&lt;br /&gt;
カインはのけぞり、顔を背けるように首をたわませて目を閉じた。そのままくわえ、唾液を絡めながら舌と唇、指を使って嬲る。カインはしばらく声を出さないよう耐えている様子だったが、そのうち徐々にゴルベーザの舌に腰を預け、脚を開いていった。&lt;br /&gt;
「ぅ――あぁ、はっ――」&lt;br /&gt;
根元の膨らみから上に向けて、時折唇を押し当てながら舌で丹念になぞり、先端までたどり着いたところで唇に包み込む。&lt;br /&gt;
「うぅん――はぁ、あぁ――」&lt;br /&gt;
わざと音を立てて激しく口から出し入れする。カインの声に甘えるような響きが混じってきた。抵抗を示すためにゴルベーザの肩と胸元に置かれていたはずのカインの指がいつしかゴルベーザの髪にかけられ、ゆるやかに浮かされた腰はゴルベーザの唇にあわせて悩ましげに動く。&lt;br /&gt;
「――ぁ――」&lt;br /&gt;
ゴルベーザの髪を掴むカインの指に、力がぐっと込められ、ぶるりと震えた。&lt;br /&gt;
「お、お放しください、ゴルベーザ様――」&lt;br /&gt;
掠れたような声で、切れ切れにそう懇願する。ゴルベーザは無言で舌と唇、指の動きを早めた。&lt;br /&gt;
「……も……もう――出ます……放し――」&lt;br /&gt;
カインの指と掌に一層力がこもり、ゴルベーザの口の中に生臭く塩辛い迸りがびゅくびゅくと広がった。ゴルベーザはそれを一旦舌先で味わい、喉奥へ通した。そのまま唇を離さず吸い上げると、カインの腰が逃げるように波打った。一滴も残さず吸い上げ、更に舌で絞り上げるように擦る。カインは切なげな吐息を漏らしてゴルベーザの髪をつかんでいた手を放し、再び肩へ添えた手でゴルベーザの身体を押し遣った。&lt;br /&gt;
「も――申し訳ございません――」&lt;br /&gt;
「構わぬ」&lt;br /&gt;
ゴルベーザは舌先で自分の唇を拭い、ようやくカインの脚の付け根から顔を上げた。&lt;br /&gt;
「……ゴルベーザ様……私が――私がいたします――」&lt;br /&gt;
カインはおずおずと手を伸ばし、ゴルベーザの天をさして立ち上がっているそれに触れた。そうさせたことがないわけではないのに、まるで初めて触れるようにぎこちないカインの手つきに、愛しさが増した。&lt;br /&gt;
「――今日はもうよい」&lt;br /&gt;
カインの手に手を添え、ゴルベーザは押し戻した。自分自身は吐き出さなくとも、不思議なほど満たされた。こんな気持ちになったのは初めてのことだった。&lt;br /&gt;
「しかし――」&lt;br /&gt;
「どうした。何をそれほど必死になっておる」&lt;br /&gt;
尋ねると、カインは悔しげに唇を噛んで目を伏せた。&lt;br /&gt;
「いえ――ただ、私は、何もしておりません。ゴルベーザ様のために」&lt;br /&gt;
カインはまた、さっきと同じ言葉を口にした。&lt;br /&gt;
「お前は俺の傍にいてくれれば、それだけでよいのだ」&lt;br /&gt;
ゴルベーザはカインの手を取り、その指に指を絡めて握った。&lt;br /&gt;
「俺がこれから世界を手にしても、またその逆に何もかもを失ったとしても――」&lt;br /&gt;
ゴルベーザはカインの美しい瞳を、気品に満ちた唇を、整った顔立ちをじっと見つめた。&lt;br /&gt;
「――それでも、俺の傍にいてくれ」&lt;br /&gt;
「はい、ゴルベーザ様――」&lt;br /&gt;
だが、ゴルベーザの願いに対するカインのその答えは、いつもと同じく、心を操られているにすぎないことを示す肯定の言葉に過ぎなかった。&lt;br /&gt;
虚しい。カインにいくら誓わせたところで、こんな言葉は――&lt;br /&gt;
ゴルベーザはカインを胸に掻き抱いた。&lt;br /&gt;
どこまでがカインの言葉で、どこからがカインの言葉でないのだろう。おそらく何もかも全てカインの言葉ではないのだろうが、それでも時折錯覚しそうになる。ゴルベーザを大切に思ってくれているカインの心の中には、ほんの少しでも本物が混じっているのではないか、などと。&lt;br /&gt;
馬鹿げている。そんなはずはない。全ては幻だ。&lt;br /&gt;
それでも、今のゴルベーザは、その錯覚に溺れたい気持ちでいっぱいだった。&lt;br /&gt;
「カイン、俺を愛してくれ――俺だけのものだと誓うのだ」&lt;br /&gt;
「はい、ゴルベーザ様――」&lt;br /&gt;
「俺以外の誰とも触れ合わないと――」&lt;br /&gt;
「はい、ゴルベーザ様――」&lt;br /&gt;
ゴルベーザは目を閉じた。腕の中のぬくもりは抵抗を示さず、ゴルベーザの抱擁をただ受け入れていた。&lt;br /&gt;
&lt;span id=&quot;dummy&quot;&gt;&lt;/span&gt;&lt;br /&gt;
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&lt;noscript&gt;&lt;br /&gt;
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      <link>https://atsukolinenff4.blog.shinobi.jp/%E3%82%B4%E3%83%AB%E3%82%AB%E3%82%A4ss%EF%BC%88ff4%EF%BC%89/%E3%81%99%E3%81%B9%E3%81%A6%E3%81%AF%20%E3%81%BE%E3%81%BC%E3%82%8D%E3%81%97</link> 
    </item>
    <item>
      <title>月だけが全てを許す [2]</title>
      <description>あの後やはりうまく寝付けず、翌朝の目覚めは芳しいものではなかった。カインは重い身体を無理にひきずってゲストルームの下にある食堂に降りてきたが、もう食堂には誰の姿もなかった。&lt;br /&gt;
食堂のカウンターで朝食を注文し、受け取った皿を持ってテーブルにつく。とりあえず目の前の皿にフォークをつけ、何度か口に運ぶと、優れなかった気分はだいぶよくなった。&lt;br /&gt;
「ずいぶん遅いお目覚めだな」&lt;br /&gt;
言われて振り向くと、エッジが居た。&lt;br /&gt;
「フ……相変わらず口の減らない王子様だ」&lt;br /&gt;
「おっと、俺はもう王子じゃねえ。今はエブラーナ王なんだぜ」&lt;br /&gt;
「そうだったか……」&lt;br /&gt;
エッジの言葉に、ふと、自分自身を振り返ってみて変化の無いことに愕然とした。&lt;br /&gt;
エッジはエブラーナ王に、ヤンはファブール王に。ギルバートはダムシアン王に、そしてセシルはバロン王になりローザと結婚した。&lt;br /&gt;
リディアは立派な召喚士に、パロムは賢者を目指して修行中、ポロムも自分自身を見つめなおして魔法を磨いている。&lt;br /&gt;
シドは、既に老体だから、今も元気で戦闘に加わっていること自体が驚きに値するとして――&lt;br /&gt;
他の者たちが自分を磨いていた間、自分は一体何をしていただろうか。&lt;br /&gt;
自分の過ちを受け入れ、聖竜騎士になれたのはついこの間のことだ。それまでは、ローザへの思いにただひたすらとらわれ、堂々巡りに陥っていた。十年以上もの時間がありながら。&lt;br /&gt;
「エッジ。お前は立派だな……」&lt;br /&gt;
本心から出た言葉だったが、エッジはいつものように明るい調子ではぐらかした。&lt;br /&gt;
「おいおい、何言ってくれてんだ。気味が悪いぜ。まあ言われなくても自分が一番よくわかってることだけどよ」&lt;br /&gt;
「いや、お前だけではない。みんなちゃんと前へ進んでいる。俺は変わらん。俺だけが」&lt;br /&gt;
エッジは眉を上に上げ、少し考えたような間をとった後、カインの肩をポンと叩いた。&lt;br /&gt;
「……まあ、いろいろあると思うけどよ。女はローザだけじゃねえからな」&lt;br /&gt;
ローザに執着して暴れまわっていた影のことを誰かに聞いたのだろう。あれも自分自身の一部として受け入れたとは言え、それを知られてしまっていることには居心地の悪さも感じた。&lt;br /&gt;
「……」&lt;br /&gt;
とりあえずエッジの言葉には答えず、朝食を終えて立ち上がる。エッジはカインの様子を見ると、今思い出したかのように「おっと俺も何か腹に入れなきゃな」と呟いてカウンターへ向かった。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
城の中庭へ出ると、セシルとローザとセオドアがいた。セシルがセオドアに剣の稽古をつけているようだったが、セオドアはともかくセシルとローザに何事もなかったかのように接するのには恥じらいを感じる。向こうが何とも思っていないようならよいが、こちらから声をかける勇気は沸き起こらなかった。&lt;br /&gt;
カインはそっと踵を返し、城のエントランスを抜けて城門を出た。&lt;br /&gt;
バロンの城下町は、昔と少しも変わらない。道具屋と武器屋、防具屋で手持ちの装備を整えてから、目を閉じていても歩けるほど見知った町の中をただ懐かしむためだけにあてもなく歩いた。&lt;br /&gt;
カインはこの町で生まれ、この町で過ごした。物心ついた時には既にセシルとローザが傍にいて、いつも三人で遊んでいた。竜騎士だった父が亡くなってからは、カインはローザの母を親代わりにして育った。妹のように大事だったローザ。成長するにつれ美しくなっていく彼女に、いつしか家族に抱く以上の感情が芽生え、次第に大きくなっていった。カインにとってローザは、心から愛する女性であるのと同時に、大切な幼馴染みであり、可愛い妹であり、失われた家族のぬくもりそのものだった。&lt;br /&gt;
そしてセシルは、信頼しあえる親友であり、力を試しあえるライバルであり、大事な兄弟でもあった。&lt;br /&gt;
だが、ローザはセシルを――&lt;br /&gt;
いや、そこから先のことはもういい。また同じことの繰り返しになるだけだ。&lt;br /&gt;
夕暮れが迫っていた。カインは宿屋の二階にある酒場へ立ち寄り、喉の乾きと空腹を癒した。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
バロン城に戻った時には、もう日はとうに落ちており、黒い空に無数の星と大きな月がこうこうと輝いていた。&lt;br /&gt;
夜闇に静まったバロン城の月の光に白く輝く石の廊下に靴音を響かせ、冷たく光る階段を上った。&lt;br /&gt;
ゲストルームの扉がずらりと並ぶ長い廊下の先のバルコニーに、黒い人影が見える。なぜとは無しにそれが気にかかり、カインは自室を通り過ぎ、人影の方に向かった。近寄ってみて初めて、その黒衣の男が誰なのかに気づいた。月の光の下で空を見上げている黒い影は、ゴルベーザだった。&lt;br /&gt;
「……ゴルベーザ」&lt;br /&gt;
声をかけると、さほど驚くわけでもなく黒衣の男は振り向いた。銀色の髪が月明かりに光を放ち、ゴルベーザの彫刻のような顔立ちを浮き立たせていた。&lt;br /&gt;
ゴルベーザと過ごした時のことは、操られていたとは言えある程度記憶に残っているが、こうしてみると記憶の中のどの顔立ちとも違って見える。穏やかで落ち着いた表情に見えるせいだろうか。&lt;br /&gt;
「魔導船の準備はできている。皆の装備が整えばいつでも月へ行くことはできる」&lt;br /&gt;
ゴルベーザの声を聞きながら、ふと、今朝エッジの前で感じた疎外感を思い出した。&lt;br /&gt;
十数年の間に、みんなそれぞれ前に進んでいることを改めて思い、自らと照らし合わせるといたたまれない気持ちになるが、その時ゴルベーザのことは頭に思い浮かびもしなかった。&lt;br /&gt;
「……お前は……この十年以上の間、何をしていた」&lt;br /&gt;
唐突にぶつけた問いだったのに、ゴルベーザはまるでカインが何を尋ねているのかが咄嗟にわかったかのように静かに答えた。&lt;br /&gt;
「俺は――何も変わっていない」&lt;br /&gt;
そして、まるで眩しさを堪えるような顔つきで眉を寄せて目を細め、カインを見た。&lt;br /&gt;
「――お前は聖竜騎士となり、新しい道を歩き出したようだが」&lt;br /&gt;
そんな風に言われるとは思わなかった。それほどあからさまな肯定の言葉を求めたつもりはなかったのだが、それまで感じていた閉塞感と焦燥感を思うと、今の姿を否定で上塗りされるよりはほんの少しだけ救われたような気分になったことも確かだ。&lt;br /&gt;
ゴルベーザは懐かしんでいるのか観察しているのかわからない物言いたげな目つきでカインをただ見つめていた。&lt;br /&gt;
言葉を交わさないまま長いこと見つめられ、そういえばゴルベーザに愛を告げられたのだということを、今更のように思い出した。&lt;br /&gt;
「……あれはどういうことだ」&lt;br /&gt;
「あれとは？」&lt;br /&gt;
「俺を――」&lt;br /&gt;
「ああ」&lt;br /&gt;
ゴルベーザは困ったように笑った。言いかけただけで全て口にしなくても、この男にはなぜカインの言いたいことがわかってしまうのだろう。共に過ごした時間もあったとは言え不思議だ。&lt;br /&gt;
「話したことが全てだ。どういうことだと聞かれても答えようがない」&lt;br /&gt;
ゴルベーザはまたあの形容しがたいような目つきでカインをじっと見つめた。&lt;br /&gt;
「青き星で、初めてお前と顔を合わせた時から、お前に心を奪われていた。お前にしてみれば、俺の部下として動いていた時のことは、思い出したくもないだろうが――」&lt;br /&gt;
悪意に操られていた時の記憶は、ところどころ霞にかかったようにはっきりしない部分もあるが、ゴルベーザと初めて対面した時のことは覚えている。バロンの暗黒騎士隊の隊長で赤き翼を指揮していたセシルがミストで行方不明になった後、新しく赤き翼を率いることになったゴルベーザに竜騎士隊の隊長として顔をあわせたのだ。&lt;br /&gt;
だがその後、王の命令でバロンの戦闘部隊は全て赤き翼の下につくことになり、ゴルベーザはカインの上官となった。&lt;br /&gt;
「……馬鹿な。男にそんなことを言われても困る。それに、セシルの兄さんに、そんな感情は抱けない」&lt;br /&gt;
「ああ。当然だ。俺がお前を愛するなど、あってはならないことだった」&lt;br /&gt;
ゴルベーザは反論することもなく、ただ静かにそう言った。「許されざる感情」という言葉の意味が、ようやくじわじわと実感できた。&lt;br /&gt;
「しかし――どういう――」&lt;br /&gt;
「お前がローザを愛しているように、俺はお前を愛している」&lt;br /&gt;
ローザへの気持ちは、誰に間違っていると言われようともカインの中では壊しがたい真実だ。それを例えに出されるのは不愉快だった。&lt;br /&gt;
「バカな。笑えん。俺がローザを愛する気持ちは必然だ。俺にはローザしかいない。男が男を思うような、そんな――穢れたものと一緒にされては迷惑だ」&lt;br /&gt;
吐き出すようにそう言ってゴルベーザを睨みつけたが、ゴルベーザは何事もなかったかのようにただ平静だった。&lt;br /&gt;
「お前にローザしかいないように、俺にもお前しかいなかった。穢れていると言われても、それしかないのだ」&lt;br /&gt;
カインはその静かに響く低い声音に気圧され、返す言葉を失った。&lt;br /&gt;
「お前に否定されるのは当然だ。だが、自分の感情を消し去ることはできない」&lt;br /&gt;
月の光が映し出すゴルベーザの顔は、荘厳な輝きを放っているかのようにすら見えた。&lt;br /&gt;
「俺に言える言葉はただひとつだけだ。カイン、お前を愛している」&lt;br /&gt;
夜の風がカインの髪を撫で、頬をなぞって過ぎ去った。&lt;br /&gt;
それは、遠い昔にどこかで触れたことがある誰かの指の感触に似ていた。&lt;br /&gt;
&lt;span id=&quot;dummy&quot;&gt;&lt;/span&gt;&lt;br /&gt;
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&lt;/form&gt;&lt;br /&gt;
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&lt;noscript&gt;&lt;br /&gt;
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&lt;/noscript&gt;</description> 
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    </item>
    <item>
      <title>寄せるさざなみ</title>
      <description>夜も更けた頃、ようやく赤き翼をゾットの塔につけ、ゴルベーザは大地へ降り立った。&lt;br /&gt;
残すは土のクリスタルだけというところまでこぎつけたが、掌握していたバロンをセシルたちに開放されてしまったため拠点として使うことができなくなり、これまで以上に赤き翼で遠征し世界中を駆け回る日々が続いていた。&lt;br /&gt;
警戒していたセシルがパラディンになったということもあり、焦りはある。邪魔される前に全てを終わらせなければ、これまでの積み重ねが全て無に帰す。&lt;br /&gt;
ゾットの塔の最上階へ戻ったゴルベーザは、寝屋と風呂が一続きになった広い自室でマントを外し、漆黒の仮面を脱いだ。頭を振って顔に貼りつく髪を振り払い、大きく息を吐く。&lt;br /&gt;
そのまま眠りについてもいいほどの疲労を感じていたが、言い知れぬ不安と胸苦しさにかられ、カインを呼んだ。&lt;br /&gt;
「……お側に」&lt;br /&gt;
夜も遅いというのに、竜騎士の鎧に身を包んだ普段と同じ姿のカインがすぐに姿を現した。鈍い輝きを放つ蒼い鎧と竜の兜、金色の髪に目をひきつけられる。&lt;br /&gt;
いつ戻るともわからぬ状態で、それでもすぐにゴルベーザを出迎えられるよう待機してくれたのだろうか。――いや、カインにそんなつもりはないだろう。いつでも戦闘準備を怠っていないというそれだけのことで、別にゴルベーザが戻るのを待ってくれていたわけではない。&lt;br /&gt;
「今戻った。これから湯を浴びようと思う」&lt;br /&gt;
「はっ……準備いたします」&lt;br /&gt;
カインは恭しく頭を下げ、部屋の奥へ姿を消した。ゴルベーザは扉の近くに配置してあるテーブルの傍の椅子に深く腰を下ろし、目を閉じた。痺れるような疲れに全身が包まれている。&lt;br /&gt;
やがてカインが戻り、命じられるのを待たずしてゴルベーザの肩当てや肘当て、手袋、胸当て、グリーブなどをひとつひとつ外していった。身体の締め付けがなくなると、代わりに意識していなかった重力を感じるようになった。&lt;br /&gt;
「ゴルベーザ様。お湯ができました。こちらへ」&lt;br /&gt;
カインに導かれ、広い浴室へ足を向ける。一人で使うには大きすぎる浴槽に少し温めの湯がなみなみとはられていた。&lt;br /&gt;
「来い、カイン」&lt;br /&gt;
「はっ……」&lt;br /&gt;
カインが竜の兜を取ると、薄明かりの下にその美貌が晒された。肩当て、鎧、籠手、身に着けているものが外される度、しなやかな身体のラインがあらわになる。&lt;br /&gt;
後ろで三つ編みにしてある金色の長い髪を湯で濡れないように高く結わえて纏めると、首筋の美しい線が際立つ。ゴルベーザと同じ無防備ないでたちになったカインは、ゴルベーザの傍へ来て膝をつき、浴槽から手桶で湯をすくってゴルベーザにそっとかけた。温い湯が、疲れた身体にしみこんだ。&lt;br /&gt;
「ローザの様子はどうだ？」&lt;br /&gt;
「あまり食事もとらず、元気がありません」&lt;br /&gt;
カインの美しい顔立ちが曇り、その目が伏せられた。&lt;br /&gt;
　――心配なのだな。&lt;br /&gt;
ゴルベーザは胸に痛みを感じた。&lt;br /&gt;
ゴルベーザがいない間、カインとローザは二人きりで、どうして時を過ごしていたのだろう。昔話をするにも長すぎる。&lt;br /&gt;
「ローザに触れたか……？」&lt;br /&gt;
尋ねると、カインは首を横に振った。&lt;br /&gt;
「いえ、そのようなことは……ゴルベーザ様のお許しなく、任務以外のことはいたしません」&lt;br /&gt;
「そうか……」&lt;br /&gt;
――俺が許せば、俺の命令だと言い訳してローザを抱くこともできるのだろうが。&lt;br /&gt;
愛するローザを抱擁することは、カインの本懐のはずだ。&lt;br /&gt;
喉元に苦いものが沸き上がってくる。カインを奪われたくないと思う一方で、カインの望みを叶えてやりたいと思う気持ちもまた本音だった。&lt;br /&gt;
「ローザを抱いてもいいのだぞ」&lt;br /&gt;
「いえ……」&lt;br /&gt;
「積年の思いを遂げる良い機会ではないか」&lt;br /&gt;
「いえ、無理強いは……」&lt;br /&gt;
ゴルベーザの口ぶりが命令でなかったためか、カインはただ否定を繰り返すばかりだった。&lt;br /&gt;
カインはローザを大事に思いすぎている。ゴルベーザに心を操られ、抑圧していた願望を全て表に出すことができるこんな状態であってすら、カインはローザを汚すことができないのだ。&lt;br /&gt;
「私ならこうするが……」&lt;br /&gt;
ゴルベーザはカインの顎に指をかけ、自分の方へ向けさせた。カインの薄い唇に唇を押し当てると、カインは顔をほんの少し背けて抵抗の意思を見せた。ゴルベーザは更にその唇を追って更に深く口付けた。&lt;br /&gt;
「愛する者が手の届く距離にいて、触れない理由がない」&lt;br /&gt;
「……」&lt;br /&gt;
「無理強いであっても――」&lt;br /&gt;
カインの唇のほんの手前で囁くと、美しく形のよい唇がうっすらと開きかけ、また閉じた。&lt;br /&gt;
「――それでも、身体は満たされる」&lt;br /&gt;
どちらにしろ愛してはもらえない相手なのだから。触れたいという自分の思いに忠実になる他ないのだ。&lt;br /&gt;
ゴルベーザはカインから離れ、浴槽に身を沈めた。体温と変わらない湯に全身を包まれ、身体の境が無くなったかのような錯覚に陥る。ゴルベーザは浴槽の外で待っているカインに手を伸ばした。&lt;br /&gt;
「カイン、こっちへ来い」&lt;br /&gt;
カインはゴルベーザに言われるままに浴槽へ身体を移し、ゴルベーザの傍で湯に身を浸した。&lt;br /&gt;
「顔をこちらへ向けろ」&lt;br /&gt;
「……」&lt;br /&gt;
カインはゆっくりと顔をゴルベーザに向ける。ゴルベーザはカインの肩に腕をまわし、その唇をそっと吸った。&lt;br /&gt;
「お前を抱きたい」&lt;br /&gt;
「……ずいぶんとお疲れのように見えますが。お身体に障ります」&lt;br /&gt;
「俺は構わぬ」&lt;br /&gt;
肉体的には疲労の限界に達していたが、それでもカインを抱きたいという気持ちに歯止めはかからなかった。カインのその言葉は、ゴルベーザの身体を気遣っていると装った拒絶の意思表示だとわかってはいたが、それでも退く気にはなれなかった。&lt;br /&gt;
ゴルベーザは湯船に伸ばしていた足を寄せて身体を起こした。湯がざばりと波打ち、揺れた。カインの腕を掴んで立ちあがらせ、背中を向けるようにして両手を浴槽につかせた。細い首から背中にかけての細く美しい線、どうしようもなく情欲を掻き立てる腰のくびれ、前の膨らみ、引き締まった尻。そこから生えている長い脚は、波立つ湯に隠されて歪んで見える。ゴルベーザはカインの背中に近づき、身体を押し付けた。カインの背中がぴくりと震えた。&lt;br /&gt;
「ゴ……ゴルベーザ様……」&lt;br /&gt;
カインのうなじに口付けると、カインはゴルベーザの名を呼んで微かに声を漏らした。そのまま首筋を伝って背筋に舌を這わせる。必死で耐えているようなカインの声を聞きながら、ゴルベーザはカインの腰に添えた左手をするりと前へ回し、カインのそれに指を絡めた。&lt;br /&gt;
「……っ、ぅ――」&lt;br /&gt;
そっと指を動かすと、手の中のカインが大きさと固さとを増していく。&lt;br /&gt;
荒くなっていく吐息も、時折びくりと強張る身体も全ていとおしい。ゴルベーザは這わせた指を更に下へと潜らせた。カインの両脚を開かせ、指を入れて掻きまわすと、逃げるような、もっと誘い込むような奇妙な動きでカインの腰がくねった。&lt;br /&gt;
「……ぅ――っ、はぁっ――」&lt;br /&gt;
指を抜いて既に天井を向いている自分自身の昂ぶりをカインの尻たぶに密着させると、カインの腰が切なげに震えた。&lt;br /&gt;
「――ゴ――ゴルベーザ様――」&lt;br /&gt;
「どうした？　欲しいのか？」&lt;br /&gt;
がくがくと震えるカインの右手に手を添え、息をはきかけるようにして問うと、カインは首を横に振りながら苦しげな声を出した。&lt;br /&gt;
「いえ……、そんなことは――あっ――あっ」&lt;br /&gt;
カインの尻に腰をおしつけたまま、ゴルベーザはその背中に唇を寄せる。背骨のくぼみを舌でなぞると、細い首が跳ね上がり、カインの腰が更にゴルベーザに突き出される格好になった。欲しがっているとしか思えない身のくねらせ方に、ゴルベーザの胸も熱くなる。&lt;br /&gt;
「俺に――どうして欲しい？」&lt;br /&gt;
「ぁ――ゴルベーザ様――」&lt;br /&gt;
カインは肩で息を吐きながら、ただゴルベーザの昂ぶりに自分の臀を押し付ける。&lt;br /&gt;
「ここに入れて欲しいのではないのか――？」&lt;br /&gt;
カインの頭が伏せられ、更に腰が波のように隠微に揺すられる。&lt;br /&gt;
「は……はい、はい、ゴルベーザ様――」&lt;br /&gt;
ゴルベーザはカインの細い腰をつかみ、自分の昂ぶりの先端を押し付けた。&lt;br /&gt;
「ぅ――」&lt;br /&gt;
「ローザでは届かないお前の奥の奥まで愛してやろう」&lt;br /&gt;
カインの身体を押し広げ、もっと中へ押し進める。風呂の湯が冷めてきているのか、カインの中の方が熱く感じた。一番奥まで突き進み、ゆっくりと引き抜く。&lt;br /&gt;
「あ――あぁ――」&lt;br /&gt;
カインの切なげな声が浴室内に響く。もう一度深く突き入れ、最奥を楽しんでからまた腰を引く。自分の息も上がってきているのがわかる。身体を打ちつける際の水の抵抗が煩わしいが、そんなことを気にしている余裕がない。&lt;br /&gt;
「ゴ、ゴルベーザ様――あっ――はぁ、あぁ――」&lt;br /&gt;
腰を打ちつける速度が増すと、ゴルベーザの気持ちの高まりと呼応するように、浴槽の中の波も次第に高くなってくる。&lt;br /&gt;
「もう出すぞ」&lt;br /&gt;
「あ――ゴルベーザ様――」&lt;br /&gt;
カインの喉奥から漏れた声を聞きながら、ゴルベーザは一気に奥まで突き入れた後、カインをきつく抱きしめてその中へ白濁した液を放った。&lt;br /&gt;
「――う――」&lt;br /&gt;
腕の中の身体がびくりびくりと戦慄いて、湯船の中を汚したことを知る。ゴルベーザに抱かれたままカインは自分の身体を支えていた腕の力をがっくりと抜いた。&lt;br /&gt;
「――カイン」&lt;br /&gt;
呼びかけると、その背中が動いてゆっくりと身を起こした。&lt;br /&gt;
「お前に口づけたい」&lt;br /&gt;
肩を掴むようにして身体を反転させると、湯にカインと自分の両方の身体を浸すようにしてその唇を貪った。&lt;br /&gt;
「んっ――んぅ――」&lt;br /&gt;
カインの唇と舌、口中の粘膜の柔らかさを味わい、離れ際にもう一度軽く口づけた。&lt;br /&gt;
離したくない。この身体を誰にも触れさせたくない。自分だけのものにしておきたい。&lt;br /&gt;
「カイン、俺が先ほど言ったことは忘れろ」&lt;br /&gt;
ゴルベーザはカインの耳元で低く囁いた。&lt;br /&gt;
「――ローザに触れることは許さん。あれは大事な人質だ」&lt;br /&gt;
カインはゴルベーザの腕の中でピクリと反応したが、すぐに答えた。&lt;br /&gt;
「……はい、ゴルベーザ様……」&lt;br /&gt;
従順なその唇とは裏腹に、蒼い瞳は苦しさを堪えようとするかのようにただ深く、暗い色を湛えていた。&lt;br /&gt;
&lt;span id=&quot;dummy&quot;&gt;&lt;/span&gt;&lt;br /&gt;
&lt;form name=&quot;dummyFrm&quot; style=&quot;margin: 0px&quot;&gt;&lt;br /&gt;
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&lt;/form&gt;&lt;br /&gt;
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      <link>https://atsukolinenff4.blog.shinobi.jp/%E3%82%B4%E3%83%AB%E3%82%AB%E3%82%A4ss%EF%BC%88ff4%EF%BC%89/%E5%AF%84%E3%81%9B%E3%82%8B%E3%81%95%E3%81%96%E3%81%AA%E3%81%BF</link> 
    </item>
    <item>
      <title>月の光の下で</title>
      <description>「ゴルベーザ様。クリスタルを集めてどうされるのですか？」&lt;br /&gt;
「月へ行くのだ」&lt;br /&gt;
「月へ――」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ゴルベーザはカインの肩を抱き寄せた。抵抗を示すかと思われたカインの身体は、あっさりとゴルベーザの肩に凭れた。カインの絹糸のような髪がゴルベーザの素肌に触れる。ゴルベーザは唇をカインの耳に寄せた。&lt;br /&gt;
「生き物のいない月と、生き物のいる月。二つ目の月は俺の故郷だ」&lt;br /&gt;
「……」&lt;br /&gt;
カインはそれに答えず、押し黙った。&lt;br /&gt;
興味があるはずもないか。ゴルベーザの故郷や過去などに。&lt;br /&gt;
そう思いかけた時、カインが唇を開いた。&lt;br /&gt;
「月に行ってしまえば、ゴルベーザ様は、もうお戻りにならないのですか」&lt;br /&gt;
「……」&lt;br /&gt;
ゴルベーザは一瞬言葉を失った。&lt;br /&gt;
どういう意味だ。何と可愛いことを言うのだろうか。愛してくれているのではないかと勘違いしてしまいそうになる。カインにそんなつもりはないだろうに。&lt;br /&gt;
「いや――そんなことは――そんなことはない。おそらくしばらくの間は月と青き星を行き来することになるだろう」&lt;br /&gt;
カインの肩に寄せた手を前に回してカインを背中から抱きしめ、ゴルベーザはカインの髪を指で梳いた。&lt;br /&gt;
「――だができるなら、お前も月に連れて行きたい」&lt;br /&gt;
「はい、ゴルベーザ様……」&lt;br /&gt;
カインは従順に頷いた。この言葉は何度も聞いたことがある。術がかかっている証だ。だが今のゴルベーザには、こんな無理矢理言わされていることがわかりすぎるほどわかるカインの反応すら嬉しかった。&lt;br /&gt;
月の光がカインの肌を白く照らしていた。足に指を這わせると、カインは恥らうように顔を背けた。&lt;br /&gt;
なぜこれほどゴルベーザの情欲を煽るのだろうか。&lt;br /&gt;
いとおしい。いとおしくてたまらない。抱いても抱いても抱き足りない。&lt;br /&gt;
「……どうした。脚を開け」&lt;br /&gt;
耳元で囁くと、カインの脚が、おずおずと開く。あられもない姿が月の光の下に晒される。&lt;br /&gt;
「……お前のここに……今から何が入る？」&lt;br /&gt;
そう言いながらゴルベーザはカインの太腿の下から這わせた指でまさぐった。&lt;br /&gt;
「ゴ……ゴルベーザ様の……あっ」&lt;br /&gt;
カインの息が上がって言葉が途切れ途切れになる。&lt;br /&gt;
「そうだ。今から俺のこれがお前の中に入る。腰を上げろ」&lt;br /&gt;
ゴルベーザの言うがままに、カインの尻が淫らに突き出された。&lt;br /&gt;
背中から抱きしめたままカインの乳首を指でまさぐり、髪を掻き分けて首筋に唇を埋める。&lt;br /&gt;
前に回した左手の指をカインの足の付け根に絡め、下から扱く。同時にカインの後ろを右手の指で探り当て、中へもぐりこませた。&lt;br /&gt;
「……っ」&lt;br /&gt;
逃げようとしているのかいないのか、カインはただゴルベーザの腕の中でぴくりぴくりと動くだけだ。その腰は、前の快感に身を委ねるべきか後ろの快感に身を委ねるべきか決めかね、ただ頼りなげに揺すられるばかりだった。ゴルベーザはカインの胸元の指を濃やかに動かしながらカインの内壁を掻き廻すようにもう一方の指を蠢かせた。&lt;br /&gt;
「……は……」&lt;br /&gt;
唇から切なげな吐息が漏れる。カインの髪を掴んで顔を強引に横へ向ける。その唇を、ゴルベーザはたまらず貪った。&lt;br /&gt;
「んっ……んっ、んっ……」&lt;br /&gt;
ぴちゃぴちゃと濡れた音がカインとゴルベーザの口腔から漏れる。カインの赤い舌が、海の生物のように綺麗に、淫らに揺らめき、ゴルベーザの舌を誘っていた。&lt;br /&gt;
ゴルベーザは引き込まれるようにカインの舌を求めて唇をより押しつける。指でまさぐった乳首を弄ぶと、それに反応したのか、それとも単に下の攻めに耐え兼ねたのか、カインの身体がくねるようにうねった。&lt;br /&gt;
竜のようだ――と、ゴルベーザは思う。&lt;br /&gt;
竜の抱接を見たことはないが――これほど淫らで美しいのだろうか？&lt;br /&gt;
ゴルベーザは上がる呼吸を抑えながら、シーツの上にうつぶせ腰だけを突き上げているカインを貫いた。&lt;br /&gt;
「……ぅ……」&lt;br /&gt;
金色の髪がシーツの上に散らばり、カインの背が震える。&lt;br /&gt;
「……ぁ……」&lt;br /&gt;
ゴルベーザに貫かれ、指で前を扱かれながら、カインは切なげに身をよじる。&lt;br /&gt;
「ぁ……あ……あぁっ……ぅ……ぁ……」&lt;br /&gt;
ゴルベーザは腰をゆっくりと動かす。縦に、横に、刔るように捻り、突き出す。カインはそれを奥深くまで受け入れ、同時にゴルベーザの掌を自分の腰に押しつけながらひくつき、ゴルベーザの掌を汚した。&lt;br /&gt;
「カイン――カイン、愛している――」&lt;br /&gt;
ゴルベーザはシーツを掴んでいるカインの指を上から握り締め、何度か激しく腰を打ちつけた後、深く貫いたままカインの中に注ぎ込んだ。&lt;br /&gt;
「愛している――」&lt;br /&gt;
腕の中の温もりに縋るように唇を寄せる。月の光の下で、力の抜けたカインのすべやかな肌が、まるで人形のように青白く照らされていた。&lt;br /&gt;
&lt;span id=&quot;dummy&quot;&gt;&lt;/span&gt;&lt;br /&gt;
&lt;form name=&quot;dummyFrm&quot; style=&quot;margin: 0px&quot;&gt;&lt;br /&gt;
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&lt;/form&gt;&lt;br /&gt;
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&lt;/noscript&gt;</description> 
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    </item>
    <item>
      <title>月だけが全てを許す [1]</title>
      <description>バロン城に顔を揃えた者たち全員で、謎の少女と、彼女が持ち去ったクリスタルについての意見を交わした。&lt;br /&gt;
すぐにでも月への道を開き、少女を追うべきだという意見と、その前に青き星であと少し準備を整えようという意見とがぶつかりあい、白熱したが、結局は準備不足だということで、しばし青き星で装備を整えることとなった。&lt;br /&gt;
カインは久しぶりにバロンで夜を過ごすことになったが、かつて自室だった竜騎士隊の部屋ももうない。ゲスト用の寝室を割り振られたが、どことなく居心地の悪さを感じ、どうしても寝付けなかった。&lt;br /&gt;
居心地の悪さは、罪の意識でもあったのかもしれない。&lt;br /&gt;
ローザに対する執着を表に出してしまったというのに、何事もなかったかのようにバロン城で客人扱いされていることがたまらなかった。&lt;br /&gt;
ベッドの上で何度か寝返りをうったが眠れず、カインは身を起こした。&lt;br /&gt;
冷たい夜の空気に触れれば、頭も冷えて少しは眠れるのではないかと思い、部屋の扉を開けて外へ出た。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
長く続く石の廊下を歩き、階下へ降りる。階段を降り切ったところで、中庭で並んで月を見上げているセシルとローザの姿が目にとまった。夜の帳の中、すべて寝静まっているせいで、ぽつりぽつりと交わす二人の会話がそれでも耳に入った。&lt;br /&gt;
「……セシル、あなたが元に戻ってくれてよかった」&lt;br /&gt;
「心配かけてすまなかった」&lt;br /&gt;
「ううん、信じていたから。愛してる」&lt;br /&gt;
　――仲のよろしいことで。&lt;br /&gt;
それは十年以上も前からもう何度も何度も見たような光景で、諦めなければならない思いだと承知しているとは言え、やはり苦いものを感じる。&lt;br /&gt;
このまま盗み見を続ける趣味は無い。その場を立ち去ろうとしたところで、視線のようなものを感じ、カインは振り向いた。&lt;br /&gt;
「何をしている」&lt;br /&gt;
低い静かな声に尋ねられた。バロン城の塔と塔とをつなぐ渡り廊下に男がいた。セシルに似た髪。力強い顔立ち。堂々とそびえる体躯。&lt;br /&gt;
「ゴルベーザ……」&lt;br /&gt;
カインはその前の男の名を唇の中で呟いた。ゴルベーザの目がカインを伺うようにじっと見ていた。カインは中庭に背を向け、男の側へ歩み寄った。&lt;br /&gt;
「いや――別に。お前はどうした」&lt;br /&gt;
「枕があわないためなのか、他の理由かはわからぬが、眠れない」&lt;br /&gt;
ああ、やはりこの男も同じだ。カインのように、バロンで過ごすことに罪の意識を感じているのかもしれない。&lt;br /&gt;
威圧されそうな力強い視線から逃れるようにカインは顔を逸らし、渡り廊下から外庭へ出た。ゴルベーザも共に来た。&lt;br /&gt;
「まだローザを愛しているのか」&lt;br /&gt;
もしかすると単純に尋ねているだけの言葉だったのかもしれないが、今のカインにとってはローザへの思いを断ち切れないことを責められているように感じられた。&lt;br /&gt;
「愚かだと思うか」&lt;br /&gt;
そう問い返すと、ゴルベーザは微かに笑った。月の光に照らされたその顔立ちは、無機質で驚くほど美しかった。&lt;br /&gt;
「俺が言えるような立場ではない」&lt;br /&gt;
「……どういうことだ。お前も同じような目にあっているというのか」&lt;br /&gt;
「ああ。俺も許されざる感情を抱いている。十年以上も」&lt;br /&gt;
思い返してみれば、ゴルベーザの部下として働いていた時間はそう短いものではなかったのに、そんな話はした記憶がなかった。友人ではないのだから当然といえば当然だが、一時はゴルベーザの腹心の部下として、昼も夜も片時も離れず共にいたはずなのだ。&lt;br /&gt;
他人の恋愛沙汰を詮索するつもりはないが、許されざる恋というところから、推理欲は沸き起こった。&lt;br /&gt;
相手は――月にはいないだろう。月にいる間は、フースーヤと二人だったはずだ。&lt;br /&gt;
リディアなら、当時はともかく今は既に大人の女性なのだし、年の差はあれど許されないというほどのこともなかろう。&lt;br /&gt;
ということは――&lt;br /&gt;
「ポロムか」&lt;br /&gt;
そう尋ねると、ゴルベーザは眉根を寄せ、片方の眉じりだけを上げた。&lt;br /&gt;
「違うのか。では、あの謎の少女か――」&lt;br /&gt;
もしそうなら、許されざる恋という言葉もしっくりくる。&lt;br /&gt;
だがゴルベーザの表情は変わらなかった。&lt;br /&gt;
「では、ローザか。その思いは報われんぞ」&lt;br /&gt;
「お前にそう言われると、わかってはいても苦しいものだな」&lt;br /&gt;
ゴルベーザは自嘲するように微笑んだ。&lt;br /&gt;
「遠くで思うだけなら、何も期待せずにいられたものを。これほど近くにいて、どうして抑えられるだろう」&lt;br /&gt;
ゴルベーザの手がカインの顔へ伸びた。避ける間もなく、頬に掌を添えられた。&lt;br /&gt;
「俺が愛しているのは、お前だ」&lt;br /&gt;
低い声が、耳の奥まで響いてきた。&lt;br /&gt;
「カイン、お前を愛している。俺はずっと――長い間ずっと」&lt;br /&gt;
ゴルベーザはそう口にすると、カインが振り払う前に頬に添えていた手を引き、カインの反応を待たず踵を返した。&lt;br /&gt;
カインはゴルベーザの言ったことが咄嗟には理解できず、その場に立ち竦んだまま、言われた言葉を頭の中で何度も繰り返していた。&lt;br /&gt;
&lt;span id=&quot;dummy&quot;&gt;&lt;/span&gt;&lt;br /&gt;
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&lt;/form&gt;&lt;br /&gt;
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&lt;/noscript&gt;</description> 
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    </item>
    <item>
      <title>赤き翼の上で</title>
      <description>ゴルベーザは赤き翼の甲板に立ち、クリスタルを手に封印の洞窟から戻ってきたカインを自ら出迎えた。&lt;br /&gt;
「よくぞ戻った、カイン……」&lt;br /&gt;
「はっ……」&lt;br /&gt;
カインはその場に跪き、ゴルベーザの前に最後の闇のクリスタルを恭しく掲げた。ゴルベーザはカインを見下ろした後、心持ち膝を折り、伸ばした左手でカインの肩に触れた。&lt;br /&gt;
「……よい」&lt;br /&gt;
カインは伏せていた顔を上げ、立ち上がった。カインの上向けたままの左手の掌にクリスタルが黒く澄んだ輝きを放っている。&lt;br /&gt;
「ゴルベーザ様、クリスタルを……」&lt;br /&gt;
「部屋で受け取る。ついてこい」&lt;br /&gt;
「はっ」&lt;br /&gt;
ゴルベーザはマントを翻して船内に戻り、デッキ最上階の自室の扉を開いた。セシルが赤き翼の隊長だった頃にはバロン国王を乗せる際にしか使われることのなかった広いキャビン内に、暗めの色調の絨毯が敷き詰められている。薄暗い照明を照らすと、ソファーとテーブルの側に置かれた小さなワインセラー、キッチンボード、サイドボードがぼんやりと浮かび上がった。部屋の隅の大きなベッドにかけられているシーツだけが、白く、くっきりと見える。&lt;br /&gt;
「失礼します」&lt;br /&gt;
少し遅れて入ってきたカインにゴルベーザは部屋の奥から声をかけた。&lt;br /&gt;
「ご苦労だった」&lt;br /&gt;
「はっ……」&lt;br /&gt;
「カイン。扉を閉めてこっちへ来い」&lt;br /&gt;
カインが言われるがまま部屋の扉を閉じ、ゴルベーザの側に歩み寄ってくる。頭を垂れて跪き、クリスタルを戴いたカインの手からクリスタルを受け取ったゴルベーザは、それを透明な箱の中に格納した。&lt;br /&gt;
「全てのクリスタルが揃った。これで月への道が開かれる――」&lt;br /&gt;
ゴルベーザは自分の両肩からマントを外し、放り上げた。漆黒のマントは大きく翻り、絨毯の上に落ちた。&lt;br /&gt;
「カイン、顔を上げろ」&lt;br /&gt;
跪いたままのカインが頭を上げた。ゴルベーザは身をかがめてカインの竜の兜に両手を添え、そっと外した。&lt;br /&gt;
薄暗い中でも輝きを放っているかのような美貌があらわれる。その瞳は愁いに満ちていた。その原因をゴルベーザは知っている。ゾットの塔でカインにかけていた術が解けたふりをして以来離れてはいても、カインの行動はずっと監視していた。カインがローザに胸の思いを打ち明けたことも知っている。&lt;br /&gt;
『許してくれ、ローザ……操られていたばかりじゃない。俺は、君に……側にいて欲しかったんだ』&lt;br /&gt;
そしてその思いを沈黙で拒絶されたことも。&lt;br /&gt;
哀れなカイン。だが届かぬ思いに心を支配されているという意味では、ゴルベーザと全く同じだとも言える。&lt;br /&gt;
「いい子だカイン。唇を開け」&lt;br /&gt;
ゴルベーザはカインの絹糸のような髪に指を通し、優しく撫でた。カインの瞳が、諦めのような色を映して閉じる。睫毛が頬の上に長い影を落とした。カインの薄い唇がゆっくりと開く。ゴルベーザは自らの着衣を掻き分けるようにして肌をあらわにし、カインの口元に押し付けた。帰艦してきた彼を出迎えた時から、抱きたいという欲望は募る一方だった。一刻も早くカインと肌を触れ合わせたい。だが、その思いをあらわにすることもまた、できない。&lt;br /&gt;
何度もしたことのある行為だからか、抗う気力もないのか、カインの唇は拒絶することもなくゴルベーザのそれを受け入れ、静かに舌を動かし始めた。ゴルベーザはカインの頭を掴んで深く、浅く突き入れる。喉の奥を突いたらしく、カインが呻いた。&lt;br /&gt;
ゴルベーザはカインの唇からずるりと抜き出すと、カインの肩を掴んで立ち上がらせた。美しく整った顔の顎を指で押し上げ、顔を寄せる。&lt;br /&gt;
カインと離れて過ごした時間は、ゴルベーザにとってあまりに長かった。&lt;br /&gt;
この唇に触れたかった。舌を絡ませながらカインの吐息を受け取り、その柔らかな口腔の粘膜を味わいたかった。&lt;br /&gt;
カインの唇に唇を押し付け、舌で歯列を割って深く触れた。一旦唇を離し、顔の角度を変えてもう一度触れた。&lt;br /&gt;
「――鎧を脱げ。俺の前で肌をさらすのだ」&lt;br /&gt;
「はい、ゴルベーザ様……」&lt;br /&gt;
カインは従順にうなずいてゴルベーザから離れ、自らの身に着けているものをひとつひとつ船室の床に落としていった。&lt;br /&gt;
「どうしたカイン。やけに聞き分けがいいな。ローザに受け入れられなかったのがそんなに辛かったのか。いつもは多少の抵抗を見せるお前が、甘んじて俺を受け入れるほど」&lt;br /&gt;
「いえ……そんなことは……」&lt;br /&gt;
カインは俯いたままかぶりを振る。ゴルベーザも着衣を脱ぎ捨て、部屋の隅のベッドに腰を下ろした。&lt;br /&gt;
「全部脱いだらこっちへ来い」&lt;br /&gt;
命じると、肌をあらわにしたカインがゆっくりと近づいてきた。ゴルベーザは両腕を開いてカインを抱き寄せ、金色の長い髪に触れる。三つ編みをほどき、指でそっと梳いた。ゴルベーザの元で朝を迎えた際には、この髪はゴルベーザがこの手で編んでいたものだったが、離れている間は一体誰が編んでいたのだろう。自分で編んだか。もしくはローザやセシルに――&lt;br /&gt;
言い知れぬ嫉妬が胸に沸き起こった。カインをシーツの上に押し倒すと、白いシーツの上にカインの金色の髪が広がった。再び唇を奪い、今度は指と掌を陶器のような肌に這わせる。脚の付け根に潜らせた指でそっとなぞると、ビクリと反応してカインは眉根を寄せた。カインの唇に唇を何度も押し付けながら、カインの下腹をまさぐる。優しい指つきで触れ、カインが充分に兆したところで、カインの手をとって自分の股間に導いた。&lt;br /&gt;
「自分で収めるんだ。できるだろう――」&lt;br /&gt;
「は……」&lt;br /&gt;
カインは手の中の熱く太い昂ぶりを擦りつつ身を起こし、仰向けの状態で待っているゴルベーザの両脚を跨いだ。足を開き、ゆっくりと腰を落として行く。ゴルベーザはカインの細い腰に手をあて、すぐにでも突き上げたい欲望を抑えながらカインの中にすべて収まる時を待った。&lt;br /&gt;
「ゴルベーザ様……」&lt;br /&gt;
途切れ途切れに吐息を漏らしながら、カインの濡れた唇が物言いたげに開いている。カインの温もりに最奥まで包まれたのを感じ、ゴルベーザは上体を起こしてカインの背に両腕を回した。瞼、頬に唇を寄せ、唇に触れる。何度も触れては離れ、触れては離れを繰り返すうち、次第に長く深い口づけに変わっていく。&lt;br /&gt;
「あっ――ゴ、ゴルベーザ様……」&lt;br /&gt;
カインが切なげに身を捩り、ゴルベーザの肩にしがみつくようにして顔を埋めた。&lt;br /&gt;
「お――お願いです――ゴルベーザ様――」&lt;br /&gt;
荒い息を肩口に感じる。金色の髪を撫で、シーツの上に仰向けに倒すとカインは喉の奥で小さく悲鳴のような声を上げた。&lt;br /&gt;
ゾットの塔で別れて以降しばらくぶりの触れ合いだったから、ゴルベーザにとっても長く楽しむ余裕などあるはずはなかった。ゴルベーザはカインの両脚の膝を折って脚を上向け、より深くカインの両脚の間に割り込んだ。&lt;br /&gt;
「あっ、あっ――ゴルベーザ様――」&lt;br /&gt;
奥へ突き入れると、カインの細い指がシーツを掴む。その手を握ってシーツから離すと、縋るようにゴルベーザの背に回った。&lt;br /&gt;
「カイン――」&lt;br /&gt;
胸の奥底から御し難い激しい感情が込み上げてくる。&lt;br /&gt;
――愛しい。たまらない。&lt;br /&gt;
「あっあ――ゴル――」&lt;br /&gt;
ゴルベーザはカインの唇を唇で塞ぎながら、浅く、深く腰を突き入れた。&lt;br /&gt;
「愛している――カイン、愛している――」&lt;br /&gt;
「あっ、ぅ――も――もう――」&lt;br /&gt;
カインが喉で押しつぶされるような苦しげな声を漏らした。ゴルベーザの背にかかっていた指に力がこもり、しなやかなカインの身体が強張る。ゴルベーザの腹に温かな迸りを感じた直後、ゴルベーザもわななき、カインの最奥めがけて何度も放った。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*************&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「愛している――カイン」&lt;br /&gt;
形のよい耳朶に、噛み付くように唇を寄せて囁く。&lt;br /&gt;
「カイン、俺を愛していると言ってみろ」&lt;br /&gt;
「はい、ゴルベーザ様……」&lt;br /&gt;
術をかけ、心を操っている彼にその言葉を言わせることは容易い。それもローザへの愛に挫折し、半ば自暴自棄になっている今ならば、尚更。カインはゴルベーザが望めばその言葉を口にする。&lt;br /&gt;
「愛し……」&lt;br /&gt;
だが、言わせてどうなるものか。思ってもいない言葉を。ゴルベーザは呪文の詠唱を途中で遮るかのようにカインの言葉を遮った。&lt;br /&gt;
「よせ。もういい。言うな」&lt;br /&gt;
カインはゴルベーザを愛していない。承知している。もし、ローザがいなくとも、カインがゴルベーザを愛することはないだろう。ゴルベーザがカインに感じるように、カインがゴルベーザに独占欲を感じることも、ゴルベーザに接する人間に嫉妬を抱くこともない。&lt;br /&gt;
カインのいない間、ゴルベーザは部下につきあってバロンの城下町で買った女を抱いた。だが、もしカインがそれを知ったところで、おそらく何の感情も抱かないだろう。カインはゴルベーザのことで傷ついたりなどしない。わかりきっている事実にすぎないのに、そんなことが苦しくてたまらない。&lt;br /&gt;
「カイン、お前を愛している――」&lt;br /&gt;
「……」&lt;br /&gt;
「俺はお前だけが欲しい。愛している、カイン――」&lt;br /&gt;
カインの虚ろな目は何の反応も示さず、ただゴルベーザの影を写していた。&lt;br /&gt;
&lt;span id=&quot;dummy&quot;&gt;&lt;/span&gt;&lt;br /&gt;
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